第6話 弟子入り
一年後。六歳になったなった時改めてグスタフさんに確認してもらうと許可が出た為、改めてグスタフさんの下へ弟子入りした。
グスタフさん曰く、俺の打った物は売り物にはしないから、俺の自由にして良いらしい。
本来売り物である鉄を簡単に渡している様にも思えるが、実は違う。俺に渡された材料は不純物の多い、所謂屑鉄と呼ばれる物。
それに場所……と言うか、鍛冶が出来る炉は現状一つしか無いため、グスタフさんの仕事が休みの時にしか練習が出来ない。
この一年で作りたい武器の構想は色々練ったが兎にも角にもまずは技術が足りない。何よりも優先すべきはスキルのレベリングなのだ。しかし、量も質も不足しまくりの現状、少しでも質を上げるためには工夫しなければならない。
改めて気合を入れなおすと俺は早速グスタフさんの鍛冶場を借りて作業を始める。
グスタフさんは俺を信頼しているのか、はたまた、面倒臭いからなのか鍛冶場には居なかった。……思いたくないけど、多分後者なんだろうなあ。
横道に思考が逸れながらも、テキパキと準備を進める。藁を炉に入れ火の魔法石も入れて屑鉄を狙いを付けて勢いよく叩きつける。
一発で成功した事にこっそり安堵しつつもじっと炎を見つめる。そしてグスタフさんの仕事を思い返しながらタイミングを見計らい鉄を取り出す。
そして、これまたグスタフさんに貸して貰った小さな槌で鉄を打つ。
及第点に達したとは言え、俺はまだまだ非力なのだ。力付くでは無く鉄を打った反動を利用して槌を振るう。
俺一人だけの鍛冶場にカァンカァンと鉄打つ音がただただ響く。その音を頼りに鉄を感じる。鉄を観る。そして鉄を打つ。
そして、炉に入れて再び熱する。取り出したらまた鉄を打つ。
その工程を何度も何度も繰り返していると、
「……い。おい!」
「っ!?あ、グスタフさん」
いつの間にか鍛冶場に入って来ていたグスタフさんに呼ばれ、そちらに顔を向けると呆れた表情を浮かべたグスタフさんが、親指で窓の外を指し示す。
視線を向けると窓の外は既に暗い。もう夜になった事が明らかだった。
「あっ……」
「やっぱり夢中になってやがったか。お前の親父さんがカンカンで迎えに来てる。とっとと帰りな」
「……はい」
幸か不幸か、鍛冶の工程はキリがいいとこまで済んでいる。と言うか、打ったナイフの刀身をまた溶かして打とうとしていた所だった。
俺は素直に槌を置き、すごすごと鍛冶場を後にする。
その後、たっぷりと父さんに叱られた俺は頭の痛みに涙を浮かべながら一緒に家に帰るのだった。
帰宅後、母さんにもこっ酷く叱られてから遅い夕食を食べ、俺は自室に戻っていた。
「まだ父さんの拳骨の痛みが残ってる……いつっ!」
頭頂部のたんこぶを撫でさすりながら寝間着に着替えてベッドの上で「ステータス」と唱える。
―――――――――――――――――――――――NAME:セイル
RACE:
JOB:生産者 Lv.3
SKILL
『農作業Lv.5』【『農耕Lv.5』『育樹Lv.2』『水耕Lv.1』『栽培Lv.2』『収穫Lv.2』を統合】『養育Lv.3』【『畜産Lv.3』『養殖Lv.1』『養魚Lv.1』『養蜂Lv.1』『養蚕Lv.1』『養鶏Lv.1』を統合】『鍛冶Lv.2』『細工Lv.1』『木工Lv.1』『彫刻Lv.1』『描画Lv.1』『裁縫Lv.1』『調合Lv1』『醸造Lv.1』『製品Lv.1』『家事Lv.3』『調教Lv.1』『孵化Lv.1』
―――――――――――――――――――――――
「……思ったより早く鍛冶のレベルが上がってるな」
まだレベルは1のままだと思っていたので少しどころかかなり驚いた。これはやはり習うより慣れろなのか、集中しまくったからなのか……。まあ、どれほど考えてもさっぱり分からない。
「次は時間に注意しないとなぁ」
今日の反省点を振り返りつつ、あくびを噛み殺す。流石に何時間も鍛冶仕事をしたら疲れた。今日はもう寝よう。
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