王国戦記〜不死鳥の乙女は蒼空を舞う〜 番外編
薄紅 サクラ
番外編
Bridal dream
【注意!】
このお話は第三部第三章前のお話です。ネタバレを含みますのでご注意ください。
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夢を見た。とても温かくて明るい、幸せな夢を。
誰もがその場所で微笑みを浮かべ、今日という日を祝福し、二人の進むべき道のりが幸せであるようにと祈っている。
晴れ渡る空には七色の橋が星のように輝きながら頭上を彩り、どこからか甘い香りをした花びらが風に舞ってその匂いを運んだ。たくさんの彩りどりな花びらが空を描く姿は、今日という日に喜びを運んでいるようだった。
そんななか
プリンセスラインで花のデコルテをあしらった白いウェディングドレスに身を包み、透けて見えるロングベールと
そのすぐそばには・・・・緑のレース生地で作られている
――――――そして。
スカイの真反対、レイラの右手側には王子としての正装に身を包んだディックの姿があった。
握られた手は温かく、ひどく安心させるものがある。まるでこれこそが本当のことのように。
それが心地よくて、ちらっとディックに目をむければちょうどこちらを見ていたらしく、蕩けるような甘い笑顔を照れることなく見せてきた。レイラはすぐに顔が赤くなるのを感じながら、誤魔化すようにして他の場所に目を向けていく。
目線の先では歓喜に涙するエレミアにグレイがハンカチを渡し、近くにいたジェシカがグレイの援護をするべくさっそく話しかけに行き、その奥でリディアナとスティーブがにこやかに幸せそうに笑っていて、その周りを蒼く小さな竜が精霊たちとともに楽しげに飛び回っている。
そんな光景がどこか眩しく、切なく、それでいて心温まるのを感じていると・・・・彼女に呼びかける声が聞こえてきた。
聞こえた方に目を向ければ、淡いアイリス色とライラック色のパーティードレスに身を包んだネイとフェイが、二人の赤子を抱き上げている姿が見えた。
その姿をみたレイラは聖母のような微笑みを浮かべ、ブーケを投げ上げるとディックの声を耳に流してネイたちに駆け寄っていった――――
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眠りから意識がはっきりしたとき、レイラはもうその夢の内容を朧げにしか覚えていなかったけれど。
それでも、胸のあたりがなんだかぽかぽかと暖かいものに包まれているのを感じ取り、しばらくは浸っていたのだった。
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