002. 【 ぼくの同位体《あいそとーぷ》のごとき同居体 】―― ユニーク細胞 ~Θ《シータ》~
――〈……《
〝
のそりとぼくから分離した
気のままに空中をただよう電磁気の流動……。
無数の〝
めくるめく線画、
ぼくの中に息づく
《
その存在の表現手段――
〝
その出力や性質を他人が把握しやすい方向に伸ばすか伸ばさないかは、ぼくの内にある《
ぼくと《
なかには人の視力ではとらえ
「対策してくれない?」
――〈めんどう。(いまのところは)
このとおり。
ぼくの
《
いまはそうしてくれる気がないようだ。
かたわらに高層ビルを築いたかと思えば、一瞬でくずれ、海面のごとき層をなびかせる。
さらさらと、青黒くのたうつ磁流。
ぼくの
ぼくでもあるけれど、ぼくではない。
疲れをおぼえないわけではないし病気になることもあるけれど、《
ぼくが情報を処理することに
《
ともに存在し、感化しあい、サポートしてくれる無二の友だ。
その存在……人格? が他者と関わりたがらないので、皆はぼくと《
まちがいではない。
だけど彼らには、思考もいっしょのものと受けとめている
努力した結果、〝見えない友達がいる〟とか、〝二重人格(ほぼ事実)〟など。
〝変人〟認定されるのは
すこし、ひっかかりをおぼえているけれど、《
――そんなのは、どうでもよかった。
あの人たちに興味はない。
あの人たちは、ぼくを〝鬼才〟・〝超人〟。
はてには〝異常〟、〝人造のギフテッド〟とかいうけれど、ぼくにとってはこの状態が
発生した時からこのようにある。
だから、
どんな個体にだって特色がある。
なにが突出していようと
ぼくは、もと実験体。
人為的に生みだされたもの。
試行錯誤のすえに偶発的に成りたった
先の天才――ぼくを生みだした科学者たちは、ぼくを説き伏せこの施設に隔離しようとした。
前の人たちは……一枚岩でもなかったけれど、ぼくを守ろうとしてのことだったのだと思う。
後の人たちの場合は、きっと。
そうすることで、ぼくを利用し、得られる
ぼくが関わっているこのプロジェクトには、相当量の資金と時間と労力がつぎこまれていたし、これとしてぼくを知った者は、ぼくという成果を部外者に奪われて出しぬかれることを恐れているのだ。
ぼくに言わせれば、どれもこれも他人の徒労。無駄な努力。
はんぱな存在に、ぼくを使いこなせるとも思えない。
人は我欲のかたまりだし、ぼくも人のはしくれ。
めったなことでは、ぼくの心はつかめない。動かせやしないんだ。
その後継者たちも先人が整えようとしたこの状態――
優位に立っているような顔をしているけれど、ぼくには手を出せずにる。
先人が組みあげた
むろん、管理しているぼくは、自由にここからぬけだせる。
でも頻繁に出かけようとは思わない。
目的があれば外出することもあるけど、外はぼくが積極的に行きたいと思う環境ではないんだ。
この施設がある都市は、最先端ともいえる技術を平和的な方向に活用し、維持できているほうだけど……
世界はいま、
貧しさと豊かさの二極化、三極化どころか……
技術や資源、土地、
人工知能が発達し便利さを手にしようと、その恩恵を享受できている土地はごくわずか。
ぼくが活動しているこの領域をはじめ、この
状況が変化しようと、人間の本質は原始から変わっていない。
〝和〟であれ〝やすらぎ〟であれ〝力〟あれ〝ゆとり〟であれ、〝利己〟であれ〝依存〟であれ〝逃避〟であれ……
理想や方法、向きあい方はそれぞれでも、個の存続に固執し、利を見れば魅せられ、自身をみたすことを夢見て、とりつき奪いあう。
存続するために気の合うもの・利害が一致するものとタックを組み、協力しあいもするけれど……
あらそい
よりよい安楽――優位な条件をもとめ、有益な〝すき〟を見つけては、自身をねじこむ。
存在のありかたを
ぼんやりそんなことを思索していると、前方に流れた《
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