ライオンになりたかった猫
朧
第1話
「僕はいつか立派なライオンになる!」
昨日の猫集会で雉猫のポヨンは宣言した。
みゃははは~。ふぎゃ~。にゃひゃひゃ。
皆が皆、お腹を抱えて僕を笑った。
一番の親友だと思ってたクロまで笑った。
その名のとおり艶やかな黒の短毛に金色の目。僕と正反対の彼は凛凛しくて
僕の憧れだった。
いつか皆の前で「僕は絶対に犬になる」って口走って以来、皆から
「へいへい、ポチ」って呼ばれるようになった。
大人達の頭は岩みたいに固い。
長老猫のサスケ翁は
「のう、猫としてのプライドを持たんかい。
犬になるとはもってのほかじゃ」と怒り
「犬なんて自尊心のかけらもない」「猫の恥さらし!」
仲間達にも口々に罵られ、クロは落ち込みモードだったけど、僕だけは彼を誇らしく思った。
「なれるよ。猫がただ猫であればいいなんて誰が決めた?
自由なんだ。なりたいものになれるさ。クロなら絶対になれるよ。犬になっても仲良しだよね。」
「おお!犬になったら僕は他の犬からポヨンだけは守るよ」
なのに、なのに・・・そのクロが卑しい顔で笑ったのを僕は見てしまったんだ。
「なぁ、ポヨン。無理なんだって。俺子供だったから分からなかったんだよ。」
・・・・・あぁ・・クロ!クロ!
長老のサスケ翁は憐れむように長い長い説教と訓話を始めた。
「のお、ポヨン。なれないものを求めてどうなるのじゃ。あるべき現実を見るのじゃ。
猫として如何に生きるか、それが次世代を担う者の課題じゃ。自覚を持つんじゃ」
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