第43話 皆で楽しい食事会!
今回、アルテミスが千秋を連れ、レーアさまへの事前連絡なしに
神力の余波が時空を超えて来てしまうんだから、改めて考えると、アルテミスってもの凄い強大な神力の持ち主なんだなぁ。それにしても、事前に連絡ってどうやるんだろう?過去のレーアさまに、いまから
アルテミスが泣き止むまでの間、デメテルにそのことを聞いてみると、こんな答えが返ってきた。まず、時空を超えて情報を送れる神さま(本人は時空移動不可)がいるんだそうだ。それで、アルテミスから連絡を受けた同じ時間軸のご両親が、その神さまに連絡する。そして、その神さまから過去に情報を送ってもらうらしい。
いきなり強大な神力が現れると、他の神々が実行中の能力に様々な悪影響を及ぼす恐れがあるんだそうだ。また、神さまに仇なす悪しき存在もおり、万が一の強襲にも日々、備えている。そのため、そういった
◇◇◇
「アリアさん、このスープすごくおいしいね!」
「本当に美味しいわ~!私もこんな素敵なものが作れたらいいのに……」
「ありがとう、アルちゃん。それ、私も大好きなのよ。デメテルさんもありがとうございます。大丈夫ですわ。きっと作れるようになります。私と一緒に練習いたしましょう?ね?」
「なぁなぁ、ディオニュソス!どの酒がおススメなんだ?全部か?全部なのか!?」
「フォル、ちょっと落ち着きなよ。もう酔っぱらってるのかい?まだそれ一杯目だろう?」
「レーア様、いかかですか?こちらのお酒は。ブランデーと言いまして、白ブドウから造りましたの」
「ありがとう、アリアさん。とっても美味しいわ~。葡萄酒より味がまろやかになるのね~。それに、この香りの素晴らしいこと!」
「ありがとうございます。それはきっと、よく熟成させたからですわ。そうすると、アルコールも角が取れて滑らかになるんですの。それに、樽で熟成させると様々な成分が一つにまとまります。それで、このような芳醇な香りになるんですわ」
あちこちから感嘆の声が上がって、アリアさんもディオニュソスさまも嬉しそうだ。フォルはまさかもう酔っぱらってるの!?そう思っていると、今度は千秋の弾んだ声が聞こえてきた。
「わぁっ!これすっごく美味しい!アリアさん、このマグカップのやつ、とっても美味しいです!私、この味大好き!」
「まぁ!千秋さん、ありがとうございます。とっても嬉しいですわ!それ、私の故郷の星の料理なんですの。ちょっとアレンジしてみた新作ですのよ。作り方も簡単ですし、ぜひ、今度一緒に作りませんこと?今回はちょっと塩気のあるベーコンを使ってみましたの。なので、チーズを足してみたんです」
ぜひ、お願いします!と嬉しそうな千秋の声。確かに、このマグカップのキッシュはとても美味しいな。日本で食べたのとそっくりだ。ベーコンにチーズに葉野菜、玉ねぎスライス、あとちぎったパン。これにきっと、卵とたぶん牛乳も入れて焼いたんだな。具材を色々、変えられるのもこの料理の良いところなんだよね。
「いかかですか?流星さん。お味の方は?」
「えぇ、すごく美味しい葡萄酒をありがとうございます。それに、こんなに美味しいキッシュは久しぶりに食べました。ベーコンもチーズも濃厚で食べ応えがあっていいですね。実は、僕のいた星でも全く同じ料理があるんです。バージョン違いでカボチャを入れてもきっと、合うと思いますよ」
「良かったですわ。気に入って頂けて。カボチャ!まぁ、なんて押忍なアイデアなんでしょう!さすが流星さんですわね!」
アリアさん、押忍の使い方合ってます?いや、可愛くていいんですけどね。
「そういえば、流星さんの星でも同じ料理があるんですのね?私が生まれたのはアンドロメダ銀河の片隅にある星なんですけど、なんだか不思議ですわ」
「本当に不思議ですね。そうだ!同じと言えば、お会いした時にアリアさんがなさってたカーテシーですけど、地球に同じ文化があるんですよ」
「まぁ、そうでしたの?私たちの星って共通点がありますのね!」
「あぁ、あのよく外国の女の人がスカート広げてやる挨拶のこと?あれ、カーテシーって言うの?地球以外でもやってるなんて凄い偶然!」
隣に座る千秋も会話に反応し、驚きの声を上げていた。でも、そんな偶然ってあるんだろうか?
「あら、どうしたの?何を驚いてるの?」
それまでレーアさまと談笑していたデメテルが、ふいに会話に入ってきた。
「あのね、この料理なんだけど、地球にも全く同じ料理があるんだ。それに、アリアさんがやってらしたカーテシーも地球にあるんだよ。アリアさんの生まれ故郷と地球、遠く離れた銀河同士の星なのにすごい偶然だなって思ってさ」
「そうなの?なら、その二つの星はきっと、
なんだか、エクストラバージンオリーブオイルみたいな名前だな。
「……流星、分かる?デメテル、なにゾーンって言ったの?」
「
説明すると、千秋は、んー?という顔をしてニコッと笑った。うん、これは分かってない時の顔だね。
「いい?千秋。いま流星が言った事を説明すると、宇宙ではあちこちに生命がいるんだけど、その誕生する条件は決して単純なものではないの。そもそも星自体が、生命が生きるのに必要な環境になきゃダメなのよ。そして、それは太陽からの距離だったり、星自体の大きさもある程度必要ね。それに、もちろん進化するには大地も必要だし、水だって液体で存在できることが重要なの。それが可能になる宇宙空間の領域のことを、
デメテル、凄いな。いつものほわっとした感じじゃなくてキリッとしてる。やっぱり、レーアさまの血を引いてるんだなぁ。こういう知識もアカデミーで習うんだろうか。
「それでね、
「んーよく分かんない」
ははっ。千秋、難しい顔して頭から湯気が出そうになってるや。
「千秋さん、要するに、生命誕生の条件の中でもさらに稀な条件に私や千秋さんたちの星が生まれたってことですわ」
「つまり、普通の生命が生まれる星ができる確率も低いけど、それよりもっと低い確率で出来た星ってことですか……?」
「正解です!千秋さん、飲み込みが早いですわね。素晴らしいですわ」
優しい笑みを浮かべながら褒めちぎるアリアさん。アリアさんって頭の回転が速い人なんだな。料理も出来て武道も達人だし、褒め上手だしほんと凄い人だ。
物事を教えることに向いてる人って、彼女みたいな人のことを言うんだろうな。
「アリアさん、補足ありがとうございます。それでね?そこで生まれた星で進化していった生命体がいずれ、文明を築くじゃない?その後、生命は大抵、大量絶滅と誕生を繰り返すのよ。でも、どういうわけか、五番目に誕生して進化した生命体の文明同士は、他の星でも似たような文明を築いてるの。もちろん、歴史は全く同じではないし、誤差はあるんだけどね」
えっ!?そうなの??
「ってことは、僕たち人類の前に文明が四回はあったってこと!?」
「えぇ、そうよ?恐らく、アリアさんの星も一緒でしょうね。だから、あなたたちは生まれた星での文明が五番目同士ってことなの」
「へぇ!全部が同じってわけじゃなくても、似たような文明になるのは不思議だね!それなら、同じ料理や文化があるのは考えられなくもないわけか」
衝撃の事実!アリアさんも目を丸くして驚いてる。千秋は……あ、すでに脱落して料理とお酒に舌鼓を打ってるね。
「そうなのよ。それからね、それは単なる
壮大すぎるミステリーだなぁ。
「神様でも分からないことがおありになるんですのね。宇宙って神秘的ですけど、逆にそれが怖くもありますわ」
さすがに宇宙にはアリアさんの奥義も通用しないだろうしね。
「お話、横からごめんなさいね~。いまのデメちゃんの説明にさらに付け足すと、アリアさんや流星さんたちのような星のことを私たち神は
……っ!?
「はい、確かに!」
「私の星もそうですわ!時間も一緒なんですのね」
僕たちの反応にニコッと微笑むと、レーアさまはさらに言葉を繋げる。
「私たちの住む
そう説明して下さるレーアさまと、うんうんと満足そうに頷くデメテル。
「そうなんですか!?そういえば、時計も同じ表記ですもんね。今回、地球やアリアさんの星がたまたまそのゾーンにいたわけですけど、宇宙にはそういった星はやっぱり少ないんですか?」
「
宇宙って不思議よね~。顎に手を当てて微笑むレーアさま。神さまでも分からないんだから、僕たち人間が分かるわけないか。不思議なのが分かったってだけでも収穫だね!
「レーア様、説明して下さってありがとうございました。とっても勉強になりましたわ」
「ありがとうございました。デメテルもありがとね」
アリアさんに続いて頭を下げる。二人にお礼を言うと、揃って微笑み軽く頷いてくれた。
「アリア!すまないが、ちょっと手伝ってほしいんだ。例のものを選んでおこうと思って……」
「は~い!いま行きますわ~!すみません、ちょっと失礼します。食事をお楽しみ下さいね」
ディオニュソスさまに呼ばれ、一緒に部屋を出ていくアリアさん。なんだろ?
「あ!ちょっと待った!こっちの酒も開けていいのかー?」
フォルがそう叫ぶと、ディオニュソスさまがやれやれといった表情で頷いていた。フォルが飲みすぎないように注意して見とかないとな。今日はデメテルはあまり飲んでなさそうだから、大丈夫か。千秋は……美味しそうに飲んでるけど、顔赤くないし全然、平気そうだな。強いのかな?
それにしても、レーアさまとデメテル、本当に二人とも綺麗だな。美人姉妹って感じがする。でも、僕はやっぱりデメテルの方が好みかな。お胸さまはレーアさまの方が大きいみたいだけど、デメテルはなんたって笑顔がすっごく可愛いし!僕の好みのど真ん中だもん!
「あらあら~?流星さんに振られちゃいましたね~」
「流星、私のこと大好きなのね!ありがとう、私も大好きよ!」
わざとらしくハンカチで目元を押さえ、完全に笑ってる表情でちらっちらっと視線を向けてくるレーアさま。そして、頬を染めながらも弾ける笑顔全開のデメテル。
えっ!?あ、しまった!また強く思っちゃってたか。あれ?でも、なんでレーアさままで?いま絶対、声に出してなかったはずなんだけど……?
「あ、あの……どうしてレーアさまも……?」
「そういえば、流星はまだ知らなかったわね。お母様も私と同じで、近くにいる人物が強く心に思ったことを読み取れるの。これも生まれつきの能力なんだけど、どっちかと言えば私の家系の力って感じね。でも、妹には備わってないのよね。なぜか分からないけど、同じ一族なのに発現する神もいればしない神もいるの。従妹も確か、この能力はなかったはずだし」
げっ!?レーアさまも心が読めるの!?すっごく失礼なこと考えちゃったよ……どうしよう。
「いいのよ~流星さん。若い殿方ですもの。そういうことに興味があるのは健全なのよ~。パパなんて今だって……あらヤダわ。ごめんなさいね~」
「い、いえ……こちらこそ失礼しました」
レーアさまたち、夫婦仲は良好ってことなのかな?
「それはそうと、流星?お母様より私の方が絶対、触り心地いいんだからね?その……ピチピチなんだから。それに、私、流星が初めての彼氏なんだからね?」
僕に顔を寄せて極々、小さな声でそっとささやくデメテル。
「……っ!ぴ、ピチピチ!?しかも、僕が初めての彼氏だって!?」
思わず大声を出してしまい、慌てて口を両手で押さえる……良かった、誰にも聞こえなかったみたいだ。皆、思い思いに料理やお酒を楽しむのに夢中になってるね。
「そ、そうなんだ。僕も今まで誰とも付き合った事なくて初めてなんだ……」
「そうなのね!?良かった……なら、私たちって初めて同士ね?」
そう言ってちょっと俯き、恥ずかしそうに微笑むデメテル。なんて綺麗なんだろう。思わず見とれてしまう。ずっと見ていたいな。心からそう思うよ。
いつの間にか繋いでいた彼女の白くて柔らかい手。僕はそれを優しく握り、指を絡める。すると、彼女もまた、しっかりと指を絡めて握り返してくれた。自然と近づく二人の顔。閉じる瞳。そして――
「あらあら~、若いっていいわね~」
レーアさまの声にハッとする僕たち。
「デメちゃん、いまは皆いるんだから我慢しなさいね~。流星さんもよ~?」
そ、そそそ……そうだった!デメテルのあまりの可愛さについ……。
「ごめんよ。ほんとにごめんね?」
「う、ううん!全然!私の方こそごめんなさい。流星の初めての彼女って聞いたら嬉しくなっちゃって、それで、ぽ~っとしちゃったの。私ったら、お母様の前で……恥ずかしいわ」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるデメテル。悪いことしちゃったな。僕も気を付けないと。それに、まだ結論も出してないのに、誰か一人とこういうことするもの良くないよな。
今のを見ていたであろうフォルと千秋にきちんと謝ろう。そう思い、彼女たちの方を見ると――
「あっはは!アルテミス、もう一回やって!もう一回!」
「え~~っ!?また!?もう、ほんとにこれで最後だよ?じゃあ、いくよ?ディオニュソスさんの真似!『フッ……君のような美しい人にはバラがよく似合う。さあ!このバラを持ってお行き。なに、お金はいらないさ。なぜって?僕はいくらでもバラが出せるんだ。花屋じゃないのにね!フッ!』」
なにこれ?なにしてんだ?二人とも……。
「~~~っ!!!お、お、面白すぎる……!!『花屋じゃないのにね!フッ!』だって!そこ、フッ!っている!?」
笑い転げる酔っ払いな千秋と、そんな千秋をダメ人間を見るような目で見つめるアルテミス。その割にはノリノリで物真似してなかった?っていうか、ほんとにディオニュソスさま、そんなこと言ってたの?たぶん、言ってないよね!?ディオニュソスさまが席を外しててほんとに良かったよ。
さっきのデメテルと僕とのこと、千秋は見てなかったみたいだね。良かった。よし、じゃあ、せめてフォルにはきちんと謝ろう。決意を新たに、その隣に座ってるフォルを見ると――
「ん?なんだ?流星。どうした?」
意外にも普通に食事をしていた。酔っぱらってもいないみたいだ。
「あ、いや……フォルは酔ってないんだなって思って」
「あぁ、アタシ、酒は強いんだ。そうそう酔わないさ。千秋はダメだな。まだグラスで二杯しか飲んでないのにこのザマだ」
見ると、さっきまでの大笑いはどこへやら。机に突っ伏して眠ってしまっていた。
「千秋ってば、わたしに何回も同じギャグやらせるんだもん!新作のギャグだってあるのに」
え?文句言うところそっち?アルテミスって結構、幅広い芸を持ってるんだな。ギャグから隕石落としまで、か。その間に何があるのかはよく分からないけども。
「あら、千秋、寝ちゃったのね。いいわ。寝かせといてあげましょうよ。よっぽど楽しかったのね」
デメテルが微笑みながら千秋の髪を撫でる。
「うん、そうだね。それで、フォル?あ、あのさ……さっき見てたと思うけど、ごめん。デメテルと……その……」
「フォル、ごめんなさいね。抜け駆けみたいな真似してしまって……」
デメテルも申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする。
「さっき、キスしようとしてたことか?あれなら、レーア様が声を掛けるって分かってたからな。まぁ、ちょっとはヤキモチ焼いたけどさ」
そう言って、ジト目で見つめてくるフォル。
「誰と正式に付き合うかハッキリ結論出すまでは、その……キスとかそういうことはなしにしようと思うんだ。そうじゃないと、三人と付き合ってるのにフェアじゃないような気がしてさ。僕ももっと強く心を持つようにするから」
「そうね……その方がいいかも知れないわね。でも、手を繋いだりは良いわよね?スキンシップがないと寂しいわ」
「そうだな。腕を組んだりハグしたり、その辺はいいんじゃないか?でさ、ちょっと提案があるんだけど、聞いてくれるか?」
フォルの提案?なんだろ?
「えぇ、いいわよ。な~に?」
「来週、連休が四日間あるだろ?」
「そういえば、あったわね。すっかり忘れてたわ」
「その時にアタシとデメテル、千秋がそれぞれ一日ずつ、流星とデートするってのはどうだ?しかも、二人っきりでだ!その時は他の二人は一切、邪魔しない事。それで、流星にアタシたちのことをもっと知ってもらうんだ。そうすれば――」
「良い考えだわ!そうすれば、流星も私たちのうち、誰を選ぶのか参考にできるってわけね?」
デート……デートか。嬉しいけど、僕、デートしたことないんだけどな。千秋と遊びに行ったりご飯食べたことくらいしかないし。
「流星、どうだ?そんな難しく考えなくたっていいさ。こんな美女と日替わりでデートができるんだぞ?」
にひひ、と悪戯な笑みを浮かべるフォル。でも、照れて頬が紅く染まってる。きっと、頑張って提案してくれたんだろうな。これを断ったら男が廃る!ってやつだよね。
「そうだね、わかった。ぜひ、やらせて下さい!では、改めて。連休の時に僕とデートして頂けますか?」
デメテル、そして、フォルのキラキラと輝く瞳を見つめながら、そう申し込んだ。
「はい!喜んでお受けします」
「アタシもだ!楽しもうな!」
「わ~い!お兄ちゃんとデートだ~!どこ行こうかな~!」
「あら、嬉しい。この歳でデートだなんて照れちゃうわ~。パパになんて言えばいいのかしら~?」
……っ!?ちょ、ちょっと!約二名、余計な返事が聞こえましたけど~っ!?それに、アルテミスは確か、今夜までしかいられないんじゃなかった?
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