第8話 妹が大好きなお姉ちゃん
デメテルって結構、どっぷり地球の文化(っていうか日本?)にハマってるのかも?今度、面白いアニメとか映画、教えてあげようかな。
「デメテルって、日本のアニメとかよく観るの?今度、面白そうなの教えてあげよーか?」
実際に名台詞を使ってくるなんて、神さまなのにすっかり上級者(?)になってるよ。僕もアニメ好きで観る方だと思うけど、日常生活で名台詞なんて使ったことないもんな。
「ホント~っ!やったぁ!ありがとう、流星!楽しみだわ!そうなのよ、おシゴトで待ち時間がある時があってね、その時にタ
待ち時間とかあるんだ?でも、その間、自由に楽しめるんなら結構、良さそうな職場だな。職場って言っていいのかよく分からないけども。
「流星たちの世界って、ここ数百年で劇的に発展してきたでしょう?だから、他の神々に、地球の文明の良さがまだあまり知られてないのよ。それでね、私たちは――」
彼女によると、デメテルの家系は地球と縁が深く、何度も地球に転生していたらしい。それで、僕がいた時代みたいな発達した文明が出来上がるのを待っていたそうなんだ。それまでは、他の星の通販を利用してたんだけど……いざ、地球の色んな物を試してみると、その品質の良さに一族、皆が驚愕。
それ以来、すっかり地球製の虜になっちゃったらしい。
地球より文明が発達してても、品物が比例して素晴らしいということは全部には言えないらしい。なんか意外だな。他の星の品物ってどんなのがあるんだろう?
……っていうか、やっぱり、地球以外の星にも生命っているのか。NASAに教えてあげたいな。
「――でね、購入対象じゃない物も結構、多いんだけど、すっごく重宝してるわ!高いから頻繁には買えないのが残念ね。でも、地球の文明が発展してくれて嬉しいわ。素敵なアニメも観られるようになったもの!」
つまり、神さまたちは、地球やその他の発達した文明のある星から、制限はあるけど色々な物を買えるんだね。で、まだそんなに地球の物は知られてないってことか。
地球の色んな物が褒められるのは嬉しいな。僕も今度、デメテルにそのサイト見せてもらおうかな。
「まあ、神さまからしたら、数百年なんてほんのちょっと前のことなんだろうしね。コテを使ってるってことは、アルテミスさまも地球のものを結構、活用してるんだ?」
「そうね。あの子はまだ通販システムが使えないから、私やお母様が代わりに欲しいものを買ってあげたりしてるわ。最近だと、少女マンガだったかしら?それに興味があるみたいよ?数ある転生先の中でも地球、特に日本を選んだのは、それも関係してるからかも知れないわね」
そう言って彼女は、可笑しそうにクスクスと笑った。神さまって言っても、地球の子供たちと感覚はあんまり変わらないのかも知れないな。
「そっかぁ!日本のマンガやアニメは地球の中でも結構、人気があるからね」
アルテミスさまもハマるかも知れないな。
「それで、どうして転生して子猫の姿になってたの?天界にいる時の姿のままじゃいけなかったの??」
「それはね、他の星でもそうなんだけど、私たちの姿に近い生き物がいる時代はその生き物の姿に転生するのが暗黙の了解になってるの。でも、そういう生き物がまだいない時代もあるわ。その時はなんでもいいんだけど、小型の動物に転生するのが一般的ね」
あ、人型かそれ以外って自分で選べるんだ?
「え?じゃあ、どうして……」
「私はてっきり、人の姿に転生するものだとばかり思ってたの。そしたら、アルテミスったら映像で見たんでしょうね。猫がすっかり気に入っちゃったみたいなのよ。それで、あの姿にしたんだと思うわ」
「あはは……かわいいもんな、猫」
「まったく……猫の生活だって決して楽なものではないでしょうに」
「そういえば、転生はどうやったら終わるの?【新生】だっけ?こっちに戻ってこられる条件みたいなものはあるの?」
転生中の神さまとしての成長判定はどうなってるんだろ??気になる。
「はい、流星君!いますっごく良い質問をしましたわ!そんなあなたには特別にこちらを差し上げますわ!よくってよ!よくってよ!」
……え?それ、誰の真似?まさか、少女マンガに出てくるキャラとかじゃないよね?全く、分からないけど。ていうか、デメテルも少女マンガ、読んでるんじゃ……?
「で、デメテル、それ誰のマネ――」
「はい、ど~ぞ!こちらも美味しいですわ!」
遮られたし。しかも、また水ようかん……あ、これフルーツ入ってる。こんなのあるんだ?へ~!……ってまだこの流れ、続いてたんかい!!
「う、うん、ありがとう……デメテル、せっかくだけど、あ、あとで食べるね?」
ほんとにお腹いっぱいなのでムリです。せっかく天界に来たのに、また死んじゃうよ。
「そ、それでどうやったら神さまは成長するの?」
「それはね、転生した体にいる間にどんな小さなことでもいいから、その星や生き物のためになることをすればいいのよ」
デメテル、素に戻ったみたいだ。よかった。
「星や生き物のためってなんだか、とっても大きなことをしないといけないみたいに聞こえるけど、そんなこともないのよ?毎日、何か良いことをするって感じね。例えば――」
ん~、と顎に手を当てて考える姿も絵になるな。
「公園のお花に水をやったり広場のお掃除をしたり、困ってる生き物の手助けをしたり、とかね。そういうことなの。あとは、それをできるだけ継続するのよ。そうして自分の心に問いかけていくの」
そうなのか。思ってたのとちょっと違うけど、環境や生き物に優しくってことが神さまとして徳を積むことになるんだな。
「そうなんだ!厳しい修行をしたりってイメージだったけど、そういうことじゃないんだね?」
「そうね。良いことってどんなことをすればいいか、自分に何ができるのか、何をしてあげたいか、自分の心で考えることが成長に繋がっていくのね。それで、十分、成長したと判断されれば天界へ戻るゲートが現れるわ。でも、それがいつかは分からないの。だから、転生してる間の日々を成長の糧として大切に生きるのよ」
実際、今の自分に何ができるのか考えるのって中々、難しそうだな。特に、一言で良いことっていっても、自分が出来ることとやりたいことが必ずしも一致しないだろうし。
「そしたら、ここへ戻ってこられるんだね!神さまも自分の生活と並行して善行を積まないといけないから、大変そうだよね」
「そうね。でも、それが自分のためになるし、未来の星を見守る時の大きな力になるはずよ。良いことって簡単に言えば、生き物も含めてその星に対して悪影響になるようなことはダメよってことなの」
そこまで言ってデメテルは、紅茶を一口飲み、先程のフルーツ入り水ようかんを美味しそうに頬張った(しかも、3個まとめて……えぇ!?)。
「んんっ!……はぁ~美味し。あ、そうそう!あとね、転生したその体の寿命を全うしても成長したと判断されて戻ってこれるわ。よっぽど、悪さとか酷いことをしてなければね。でも、そんなことをする神なんて聞いたことないわね」
それなら、きっとすぐ天界に戻ってこれそうだな。あんなに優しい笑顔をできる子が悪いことするわけないよ。
「じゃあ、アルテミスさまはきっと、猫の寿命が来る前にこっちに戻れそうだね!だって、デメテルの妹だもん!」
「あら、ありがと!そうね、そうだといいわ~!【新生】したアルテミスはきっと、神として素晴らしく成長してるはずよ!」
デメテル、ほんとに妹さんのこと大切に思ってるんだね。嬉しそうだ。そういえば、どんな能力なんだろう?成長して『月と星を司る神さま』にちゃんとなれたら、力を使えるようになるのかな?
「ねえ、アルテミスさまはどんな能力を使えるの?」
「え〜っとね、いまあの子は『
能力にもレベルみたいなものがあるのかな?前にデメテルが、お母さんは最高クラスの能力を持ってるって話してたもんな。
「神の能力ってね、効果や規模によってレベルが5段階に分かれてるのよ。1番下から
すると、彼女は耳打ちするように近づいてきて、小声で続けた。
「あとね、噂では更にその上のレベルもあるみたいなのよ。でも、多分、それは例外中の例外で、発現できる神がいたとしても大神帝さまくらいじゃないかしら?」
なんだか、ゲームみたいな感じ。神さまが成長する=レベルが上がるってことなのかな。
「へ~!じゃあ、成長したら今より上位の能力が使えるってことなの?」
「そうよ、さすが流星ね!それでね、普通は『
ということは、10~15才だから小学校高学年から中学卒業くらいか。
「でね?アルテミスはまだ1000万才なのに、もう『
それは凄いな!?普通の神さまの子供が1番下のレベルの能力を覚え始める時期に、もう既にその1つ上の力を使えるのか。天才なんじゃない??
「凄いね!!?全然、能力のことを知らない僕からしても、それはもの凄い才能じゃない??天才だよ!ご両親もさぞ、喜ばれたんだろうね!」
「もっちろんよ!お父様は涙を流して喜んでたわ!お母様はあの時、お祝いにってアルテミスに法衣を作ってくださったのよ。アルテミス、とても喜んでいたわ」
そうだろうね。神さまだって子供の成長は嬉しいだろうし、それが飛び抜けて素晴らしかったら喜びも
「そりゃ、嬉しいよね。それで、その法衣っていうのはなに?」
「あのね、法衣は神の正装のことよ。ここから天国にある神殿に行くときや、あまりないけど、大神帝さまにお会いする時なんかに
「なんか凄そうだね。デメテルも法衣持ってるんでしょ?デメテルが法衣を着たとこちょっと見てみたいかも」
な~んて、大神帝さまにお会いする時に着るような大切なものを軽々しく扱っちゃだめだよね。
「え!?……うん!いいわよ!?流星がそんなこと言ってくれるなんて思ってなかったから、ビックリしちゃったわ……!でも、嬉しい!」
あ、いいんだ??僕の手を握ってぶんぶん振り回すデメテル。そんなに喜んでくれるなんて、なんだかこっちまで嬉しくなっちゃうよ。
「いいの?でも、大切なものなんでしょ?大丈夫なの?」
「ええ!全然、平気よ!あ、そうだわ!ねぇ、よかったら、今から私のお家に来ない……?」
「え……いいの?」
「もっちろんよ!法衣を見せたいし、流星のこと、やっぱりうちの両親にきちんと伝えておいた方がいいと思うの。上手くいけば……ううん!絶対に、お父様たちがなんとかしてくれるはずよ!だって、アルテミスの恩人だもの!それに、私の……とっても大切な人だし」
「ありがとう、デメテル。それじゃ、ちょっとお邪魔しようかな。デメテルのご両親にお会いするのは緊張しちゃうけど……」
「ふふっ、大丈夫よ。ちゃんと話を聞いてくれる両親だもの。流星のことだって、悪いようにはしないはずよ!それじゃ、早速、行きましょ?ここから街までは歩いていける距離なの」
いきなり家に行くことになっちゃったけど、ほんとに良かったのかな?デメテルのご両親だから良い神さまに決まってるけど、どう思われるかちょっと不安だな……。
デメテル、あんなに嬉しそうにしてたし、まあ、なるようになるのかな。僕には他に行くところなんてないんだし。少なくとも、彼女と一緒にいられるならどこにだって行くよ。だって、僕を救ってくれたんだから。何があっても彼女を信じるって決めたんだ。
「あ、ちょっと待って!」
「どうしたの?デメテル。何かあった?」
「流星ったら、あわてんぼさんなんだからっ!ほ~ら!水ようかん、残ってるわよ?好きでしょ?」
「……えっ?」
ニコニコと無邪気な笑顔で水ようかんとフォークを手に持つデメテル。そして、凍りつく僕。
「さ、座って座って!」
女神さまのお誘いなのに、なぜ素直に喜べないんだろう……?答えは分かりきってるんだけどね。
僕はハッキリ断ることの大切さを今更ながら学んだ。でも、全てがもう遅かったんだ。あんな嬉しそうな顔して「あ~ん」なんてしてくる彼女に何が言える……?
言えやしない、言えやしないよ。
僕が言えることは、たった一つのことだけだった。
「……すっごく……ぅ……美味しいよ」
愛くるしい笑顔で見つめてくる僕の信じる女神さまは、満足そうに二口目を差し出した。
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