第43話

抱きしめ返されたことに信司さんは驚いたようだったが、一呼吸して、言った。

「なんか、俺らって慰めあってるみたいだよな」

そして、笑う。

「いいんじゃないですか? 落ち着くし」

僕もつられて笑った。

「そーだな。安心して寝られそうだよ。

悟志のこと理解してたつもりだったのに、まだふっきれてないんだと思うとなさけね~」

いいながら、胸に顔をうずめてくる。

今度は僕が驚く番だったが、それ以上はしてくる気配は無い。

「お互いさまですって。さ、今日はもう遅いですし寝ましょうよ?」

信司さんの頭を見ながらいった。

あ。この人つむじがふたつある。

とか、冷静になるために他のことを考えていると。

「なあ、キスしていい?」

耳を疑うようなことを聞いてきた。

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