第22話

…これは僕の名前ではない。かんかん言うなよ。

「僕の名前は寛人だ!ひろと!! 悟志~、普通に呼べよ~」

悟志は楽しそうに言う。

「え~? 寛人の『寛』が『寛永通宝』のかんなんだから、かんかん。可愛くない?」

…僕は理由を聞いてるんじゃなくて。

やめろって言ってるんだよ、その呼び方。

「かんかんってパンダみたいな呼び方じゃないか…」

悟志は納得したように頷いた。

「そうだな~、でもオレ、かんかんって気に入ちゃったんだよね~。我ながらいいセンスしてるなって。呼んじゃだめ?」

祈りのポーズで悟志が僕を見る。

もう、仕方ないなあ。

僕は溜息をついて言った。

「わかった。いいよ。ただし、人前ではあんま言うなよ?」

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