第12話

俺はやっと声を出す。

「じゃ、なに?そん時のこと憶えててキスしてくれなかったのかよ」

俺は京平の肩を掴んだ。

「だってさ、好きな人の嫌なことしたくないから…」

そういう京平の顔は真っ赤だ。

でも、笑ってる。

なんだ俺たち、アホみたいじゃん。

俺もおかしくて、笑い出した。


ひとしきり笑ったあと俺は切り出した。



「ね、キスしようよ。いっぱい」

「ああ」

京平は微笑して答える。

京平の唇が重なる。

唇を何度かそっとついばまれて。

ゆっくりと舌を差し込まれた。

「――っふ」

優しいキスだった。

何だか、満たされる。

その日はずっと、何度もキスをしていた。

やっと、安心した。

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