第33話

はっきし言ってあの二人のおもちゃじゃん…。

気に入られたようでよかったよ。

「案外、平気そうだな。怒られると思ったのに…」

後ろから声がした。

渉の声だ。

――そういえばオレ。

こんなことされたのに怒ってない。

ってゆーか。

「怒られると分かっててこんなことしたんですか? 嫌われるとも思ったんじゃないですか? …有也に出来ないから、オレにしたの?」

オレから発せられる言葉はえらく冷静だ。

渉さんの気持ちを知ってるからだろうか。

有也が好きだということを。

「いや。有也の代わりでそんなことしたつもりじゃないんだ。寝顔みたら直気くん随分可愛かったから、つい。考える間もなく…頬にキスして、そのまま首筋に唇をつけてた。……意外と肌は白いんだね」

「……っ」

恥ずかしいなあ、もう。

顔が赤くなってゆく。

オレの態度に安心したのか恥ずかしげもなく、そういうことを言うな…。

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