第3話

でもさ?

オレ何でこんなとこで雨に濡れてるのか、分かんねえんだもん。

そう。

オレ、記憶喪失らしい。

だから、初対面でこんなにしゃべる奴も何も、記憶無いから、分かんねえ……。

そう感じただけだったんだ。

あーあ。雨が冷てえし、これから、どうしようかなあ。

雨は強くなりそうだし。

見たところ、オレ何も持ってないみたいだしな。

つまり、金無しってことで。傘買えねえし。

そんな意味のないことを考えていると、有也が言った。

「なあ。僕んち来る?」

オレは耳を疑った。

何だって?

オレのびっくりした顔も気にせず、有也はしゃべり続ける。

「まあ。せまいし、ボロいし、同居人が居るけど」

そんな、おいしい話。転がってる、もんだなあ。

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