第35話

僕は藍のことを昔からの友人だと説明した。

紅蓮くんはそれを聞いて納得し、藍と僕にお茶を煎れてくれた。

そして、二人の会話を聞いて出た言葉がさっきのセリフだった。

「え~、そっかなあ? よかったね、藍。誉められてるよ」

にっこり笑っていうと紅蓮くんは頬を引きつらせた。

「……誉めてねぇよ。二人ともよくしゃべるな、と思っただけだ」

紅蓮くんはそういい捨てると洗濯をしにその場を離れた。

「なかなか生意気そうな家庭用ロボットだな。…お前らしいけど」

お茶をすすりながら藍が言った。

「ふふ。誉め言葉として受け取っておくよ。…ところで」

僕は一息ついて話しかけた。

「で、頼みたいことって何の用? こんなへんぴな所までわざわざ僕を訪ねてくるなんてよっぽどのことなんでしょ?」

藍はふっと笑い、抱いている赤ちゃんをあやした。

「……この子を預かってくれないか? しばらくの間」

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