第8話

「片付かないからだ」

きっぱりと俺は言い切る。

「捨てないと駄目?」

「せめて、確認させてやる。いるものといらないものを蒼貴が分けろ。俺はそれらをゴミ袋と棚に別けてやる。

「別けてやるってなんか偉そうだよね…」

しみじみと蒼貴がいう。

「頼んだのはお前だ。それに対等なんだろ?俺たち。一緒に片付けようぜ」

「家事用ロボットだろ? 紅蓮にそういうことは任せたいんだけど…」

「けどな? 限度を超えてるんだよ、この散らかりよう…。今日だけ一緒にやろうぜ。頼む」

手を合わせて拝むと、蒼貴は観念したみたいだ。

「まってて。今ごみ袋もってくる」

蒼貴はそういって、部屋をでていった。

――これが、俺と蒼貴の出会いだった。

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