猫猫猫
春流乃 丸督
飼い猫今昔。
はるちゃんは浮気性だ。
茶トラのキジトラ猫で、
そこらじゅうに、
種をばらまくどら猫。
この街の顔でもある。
はるちゃんと、
飼い猫の頃の名前で呼ばれる、
しっぽのふさふさなボス猫。
何処がはるちゃんだ、
あいつは、年がら年中発情期だ!と、
黒猫のマサバは怒る。
サビ猫のみーちゃんは
そんな、はるちゃんが大好きだ。
はるちゃんがメス猫でも、オス猫でも何匹連れ歩いていてもお構い無し。
みーちゃんの母猫のSUNAOは綺麗なサビ猫で、ここらでべっぴんさんと有名だった。はるちゃんが粉をかけない訳無かった。みーちゃんの父親も、多分はるちゃんと言われてる。姿形はお母さんに似てるし、キジトラ猫の柄は出てない。でもね、ピンクの肉球がみーちゃんははるちゃんとお揃いだった。
はるちゃんはるちゃんと、みゃーみゃー言うみーちゃん。SUNAOはお婆さんの飼っている猫で、、ちょっと体が弱い。だから、避妊手術も受けてない。そんな、SUNAOを狙う猫は多いのだ。
はるちゃんもちょっと心配してる。
そして、みーちゃんも年頃だ。
だが、みーちゃんは生まれてすぐ避妊手術を受けた。この猫は体が強いからと。
だから、みーちゃんは子猫を産めないけど。SUNAO母さんと共にお婆さんがお世話してる。最近、お婆さんはSUNAOを外に出したがらない。みーちゃんは時々勝手に出かける。
そして、はるちゃんを探す。
はるちゃんは魚屋の裏。
気持ちのいい屋根。
猫の集会所。
色んなとこに居る。
みーちゃんははるちゃんが大好きで。
でも、お父さんとは言わない。
いくら、ピンクの肉球がはるちゃん譲りとはいえね。そこはね。
はるちゃんは彼女や、奥さんが沢山いる。それは、みーちゃんも何度も見た。はるちゃんが熊を追い払うとこも見た。ここは、そんなド田舎だ。
人の数と、猫の数。
なんだか、猫の数が優勢なのだ。
最近、保護団体とかゆー、
人達が、罠を仕掛けている。
はるちゃんも捕まらないかいつも、心配してる。保護団体に捕まったら、、飼い猫になれるらしい。それも、いいと思うよーと、みーちゃんは思う。でも、自由気ままなはるちゃんにはひとつの家で過ごすのは窮屈かなーとも思う。もう、10年も昔の話だ。SUNAO母さんも亡くなって、お婆さんの孫にいま、お世話してもらってるみーちゃんは、はるちゃんに会わなくなってもう、はるちゃんを忘れただろーか。孫のその人は、いつも毎回ペット可マンションを探してくれる人だ。最初は大学生。いまは、薬剤師。料理が上手で、野菜とか果物の切れ端をくれる。さつまいもが甘いのも、キャベツの芯も大好きだ。すっかり、みーちゃんは孫の猫だ。時々、これは余生なのかなーとみーちゃんは思う。飼い主は1度しか、変わったことないし。今の飼い主はリードはつけて散歩させてくれるけど、脱走には鬼のように厳しい。しばらく怒ってて怖いくらい。みーちゃんははるちゃんも、SUNAO母さんも覚えてる。今でも手が届く気がする。寝ている時なんか。でも、みーちゃんも今年で18歳だ。あと、何年生きられるだろうか。飼い主はよく、栄養剤もオリジナルで配合して餌に混ぜてくれる。栄養剤入ってる時は鰹節多めに入ってるし、美味しいからみーちゃんは嬉しい。いい飼い主だなーって。でもさ、これも心変わりなんだろーか。あんなに大好きなはるちゃんも逢えなくなって、お婆さんも死に。いまは、孫のいっちゃんに飼われている。猫は心変わりしてはダメとは決まってないし、飼い主が変わることは心変わりではないとは知ってても。一途なみーちゃんは時々途方に暮れる。ここに居て良いのかなーって。笑顔でただいまーと、毎日言ってくれるし。猫じゃらしのじゃらし方もめちゃくちゃ上手くなったいっちゃん。愛されてるなーと思う。それなのに、翻したい。自由が欲しい。多分、それが猫なんだろーな。うんうん、これが猫なんだね。と、今日もみーちゃんはいっちゃんのベッドで一緒に横になる。おやすみ、またね。
猫猫猫 春流乃 丸督 @haruno-marumi
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