第8話:文体&文章力&人物描写

13)文体


 文体は作品の印象を決定付ける極めて重要な要素です。また、読みにくさや好き嫌いがはっきり分かれる要素でもあるため、★を沢山獲得したいならば万人受けする文体を使用する必要が出てきます。


 万人受けする文体とは、硬すぎず柔らかすぎず読みやすく奇をてらわない素直な文体になります。文体には作者の癖が出やすく、そこが作品の魅力になる場合も多いのですが、★の獲得を優先するならば読みやすい素直な文体で執筆することを心がけましょう。


 最も優先すべきは読みやすさですが、文章の長さ、句点の間隔、平仮名と漢字の割合、カタカナ使用頻度、文末での同一文字連続不使用、読んだときのリズム感などなど、気を配る要素が山のようにあって一筋縄ではいかない難易度を誇ります。


 読みやすいこなれた文章を書くためには、いろいろなプロの作品を読みまくって読みやすい文体を探し、模倣するのが最も効率が良いです。


 こればかりは地道な努力を重ねるしかなく、センスも必要になってくることから継続して練習していくことをお勧めします。


14)文章力


 文章力とは、文章の読みやすさ、文章の親しみやすさ、描写力、表現の巧みさなどの総合力です。文章力が無いと、稚拙な文章になったり、下手な文章になったり、読みにくい文章になったりして読者が脱落してしまいます。


 また、リズムが良くて読みやすく、上手い文章であればそれだけで読み続けてくれる読者がある程度は居ますので、文章力は上げられるだけ上げるように努力し続けるべきです。


 ちなみに、本論は文章力など気にせずに気の向くまま書いていますので、いわゆるヘタクソな文章になっているはずです。書き直すつもりはありませんのであしからず。


 それはさておき、小説は「人物描写」「情景描写」「心理描写」「セリフ」「説明」などで構成されています。これらの要素には一つ一つに注意すべきことがあり、勢いに任せてみたり、筆が進むままに書き連ねてしまったりすると致命的なミスを犯す場合があります。


 Web小説を好んで読む読者の傾向として、くどい描写は嫌われますし、詳細な説明は読む気をなくしてしまったりします。したがって、次項以降に各要素を書く上での注意すべきポイントやコツ、テクニックなどを説明していきます。


14-1)人物描写


 人物描写はキャラクターの特徴を文章化したものです。以下の文章を例に説明していきます。


『あの黒髪の少女は、体操着姿がすごく可愛い。』


 上記は一人の女性キャラの簡易的な人物描写ですが、ちょい役のモブキャラだったらこの程度でも大丈夫です。


 次の例は、もう少し特徴を加えた人物描写です。


『白いトレーニングシャツに紺のハーフパンツ姿の彼女は美しく、可愛かった。艶がある長い黒髪。瑞々しい素肌に映えるぱっちりとした大きな目。透明感あるピンクの唇がバランス良く配置されている。身長が低くて幼く見えるが、アンバランスなほどに胸が大きい。』


 上記は少女の人物描写ですが、ただ特徴を羅列しただけになっています。これだけだと、この少女は記号にしか見えません。けれどもこの少女が、たびたび登場するセリフがある脇役キャラならば、この程度の人物描写でも構わないでしょう。


 次の例を見てみましょう。


『紺のハーフパンツ姿の彼女は美しく、可愛かった。艶がある長い黒髪。瑞々しい素肌に映えるぱっちりとした大きな目。透明感あるピンクの唇がバランス良く配置されたその顔を見ていると、思わず見とれてしまう。


 身長は低く幼く見えるが、白いトレーニングシャツ越しでもはっきりと分かる、アンバランスなほどに豊かな胸のふくらみが男心をくすぐるのだ。』


 上記の例は、前に示した例に視点者の心情を少しだけ混ぜ込んだ描写になっていますが、主要キャラならば初登場時にはこれくらいの描写が欲しいものです。


 さらに例を見てみましょう


『一目見て胸が高鳴った。グラウンドを走る彼女の長い黒髪が、陽の光を受けてきらめいている。目の前を通りすぎた今でも思いだせる。汗がにじむ瑞々しい肌に映える、ぱっちりとした大きな目がすごく印象的だった。


 紺色のハーフパンツを履いている短めの可愛い足を一生懸命に動かしている姿は苦しそうだったが、その瞳は輝いていた。一周して彼女が戻ってくる。さっきよりも幾分息遣いが荒くなったようだ。透明感あるピンクの唇から吐きだされる息が、ハッ、ハッ、とリズムよく聞こえてきた。


 また目の前を通りすぎる。走りに合わせて上下に揺れる胸のふくらみの豊かさが、白いトレーニングシャツの上からでもはっきりと分かった。身長が低くて幼くも見えるが、そのアンバランスさが男心をくすぐるのだ。』


 上記の例は、上で挙げた例にさらに心情を追加し、キャラの動きや息遣いや情景までも加えた人物描写になっています。本命であるメインヒロインの初登場時は、これくらいの人物描写を書いても問題ありません。


 メインヒロインやメインヒーローの人物描写には、心情や動きや情景などを書き加えると、印象的な描写になって読者の記憶に残りやすくなります。

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