第11章
夏休み
第624話
《仁side》
おはようございます、仁です。
照りつける日差しと、蝉の鳴き声が夏を感じさせる。
青い空に、遠くの空には入道雲。
手に持っている棒アイスは、溶けて手に被害を及ぼしている今日。
俺は今、姫に連れられて灼熱の地獄を歩いている。
まさにフライパン。
たいやきが嫌なら、俺も嫌だよ。
「食べ終わったら、目的地に向かおうね。」
「あ、仁くん溶けてるよ?」
俺の目の前には、キャッキャと可愛らしく会話する美少女二人。
そして、俺の横には美女一人。
「こうも暑いと、クーラーがかかった家が恋しいわねー。」
同感です。
ひなちゃんは、手を団扇代わりにパタパタと扇いでいる。
残りのスイカアイスを口に放り込み、立ち上がって目的地であるショッピングモールへと歩き出した。
今日は、女四人でお買い物をする。
ひなちゃんと姫が揃っている。
それはつまり、俺にとっては未来が見える。
決して暑さに頭がやられたと言うわけではなく、経験則からの推測だ。
暑さに弱い俺が、アイスがデロデロになるまで外で粘った理由にも関係している。
要は、時間稼ぎのつもりだった。
女子力高めのひかが、ウエットティッシュをくれて助かった。
「先に何から見る?洋服?下着?それとも、水着?」
「水着は選ぶのに時間がかかりそうだから、先に済ませちゃいましょう?」
「それにしても、私たちまでお邪魔しても本当に大丈夫かな?」
死刑宣告のような会話が目の前に広がっていると、ひかが心配そうに首を傾げた。
そもそも、何故この四人で買い物に出掛けることになったのか。
それは、俺が退院して3日程した時に遡る。
────
──
─
家で、姫とご飯を食べて楽しく平和に過ごしていると、唐突に兄貴が言い出した。
「仁、姫ちゃん。今年は八月の頭になったよ。」
『……ん?』
「あ、海ですか?」
毎年恒例の、二泊三日のお泊まり。
兄貴たちと姫と行く真夏の海の日。
兄貴たちの運転する車で、遠出する。
すっかり脳内から抜け落ちていた。
「それでね、今年は一心たちも行きたいって。ひかりちゃんも一緒らしいから。」
「本当ですか!楽しくなりそうだね!」
『ん。』
前に、ひかに話したときに羨ましいと言っていたな。
あの人も呼びたいけど、兄貴はどんな表情をするか少し不安だ。
『……兄貴、ひなちゃんも。』
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