第2話

翌日もまた現れた彼女は少し弱気で、



「…ねぇ、私のこと今も好き?」



まるで確認するように尋ねてきた。



「ちょっと聞いてんの…!?返事くらいしなさいよ!」



それに返事を返さない俺に彼女はだんだん自分を取り戻してきて、終いには激高しだした。



「ちゃんと口で愛してるくらい言いなさいよ!」



挙げ句の果てには女の癖に、拳を作って殴って来る始末。


しかも一度だけじゃなく、二度三度と繰り返されるそれに、次第に彼女の拳には血が滲み出す。


今まで平手はあったけど、拳で殴られるのは初めてだった。


そうは言っても相手は所詮女。


痛くも痒くもない俺に反して彼女は、



「見なさいよ!血が出ちゃったじゃないの!」



と、逆ギレもいいところ。


所々擦り切れた拳を撫でさするように睨んでくると、



「明日も来るからね!」



と、やっぱり悪態をつきつつも明日の約束をして帰って行く。




こんな毎日がすでに1ヶ月経とうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る