第27話

中に入るとそこはさらに人で溢れていて、前に進むたびに人にぶつかる。


つぐみの言う人気DJはまだ居ないようだけど、店内はすでに熱気に包まれていた。


ドリンクチケットを購入してから二人でカウンターに向かうと、「つぐみちゃん久しぶり!」とカウンターの中にいる男の人に声を掛けられていた。


何度か来たことがあるらしいと言ってたし、顔見知りなのかもしれない。


つぐみも久し振りに会ったのか、嬉しそうに挨拶を交わしていた。



「隣の子は初めて会う子だよね。何ちゃん?」



その様子を眺めていたら、不意にその男の人が隣に並ぶ私に視線を向けて訊ねてくる。


毎日これだけの客を相手にしていて、一々顔も名前も覚えてるのだろうか。


さすがこういう場所で客商売してる人はレベルが違う、なんて感心しながらも「志乃です」と、簡単な自己紹介をした。

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