第3話 天使様の命綱
近寄って見ると彼女は輝かんばかりの笑顔を発動させた。
「天使……様??!!」
「そのあだ名、肯定したくないけど……まあそうだよ」
「冗談じゃ……無いよね?」
「いくらバカな私でも……冗談でお隣様のおトイレまでは借りに来ないわよ!」
「お隣って!! いつから??」
「いつからって?! キミがこの部屋に来る前から私は隣に住んでるよ。ちなみにキミ歌上手いね。風呂オケで歌っているのが時々聞こえていたよ」
「いや、そんな話、今いいから!! 何でこういう状況なの?!」
「ああ……私、宅配来るの忘れてお風呂入っちゃっててさ!チャイム鳴って慌てて出て……うっかり締め出されちゃった!」
「締め出された??!!」
「うん! 私ん
「だからって何で雑巾とロープなの?」
「ああ、雑巾はね。私の足跡で汚しちゃったから……」
なるほど!“天使様”の足取りと“心模様”の軌跡がしっかりと廊下に残っている。
「でもロープは何に使うの?!」
「それは命綱! ベランダを伝って掃き出し窓から入るしかないんだもん!」
「ここ7階だよ! そんな事、絶対ダメだ!」
で、結局オレは天使様にスマホを貸してあげた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます