すれ違いの恋

hana🌸

すれ違いの恋

*旦那様の出張*

第1話

橘 彩実は、27歳。結婚して3年。

中小企業に、勤める女性社員。


年齢が、8歳差の旦那様は、橘 雅俊。

大学病院の、医師。

彩実が、入院した時の、担当医だった。


彩実の、雅俊の第一印象は、『最悪』


元気な身体で、自覚症状もない彩実が、

入院当日の回診時、ベッドに、

居なかった事を、雅俊に、酷く叱られた。

『私、一応、患者だし?

普通、あんなに、叱る??

あんな奴、最悪!大っ嫌い!!』


1ヶ月近くの入院生活が、終わる頃には、

それは、彩実の身体を、心配しての事だと。


そして、口が悪いけれど、優しい人で、

それを上手く、表現出来ないだけだと。


退院した時の、雅俊の笑顔を見て、

彩実は、それに、気が付いたけど、遅すぎた。


そう思っていたら、数か月後、偶然、

彩実の勤めるビルの前で、

ふたりは・・・・再会した。


それがきっかけで、付き合う様になった。


雅俊は、初めから、

彩実に、一目惚れだったらしい。

これは、今も、彩実が知らない事実。


結婚してからというもの、

彩実に、振り回される雅俊と、

雅俊に、いつも、お小言を、もらう関係は、

相変わらずで、彩実は、仕事を続け、

雅俊は、夜勤等で、忙しくはあったが、

ふたりは、幸せそうだった。


彩実は、その日、何となく、

体が、言う事を、聞かない日だった。

何をしても、上手くいかず、

彩実は、少し、苛々していた。


同じ経理課の、同期の高橋弥生が、

昼休みに、彩実に、聞いてきた。


「どうしたの?調子・・・悪そうね?」

「・・・・・・んっ、そんな事ないけれど、

何か、落ち着かないのよね。」

「旦那さん、また、出張なの?」

「アッ、うん。

今度は、今日と、明日と、明後日もかなぁ。」


「相変わらず、忙しいのね、寂しい?」

「まさか、慣れているよ。

あの人さぁ、職業柄なのかさぁ、

こんな事をしたら、駄目とか、

あれは、止めなさいとか、

高飛車ダメだし男なんだよねぇ・・・

少しでも、顔色が悪いと、出勤するなとか。

ほら、私、過喚起症候群でしょ?」


「ああ、あの、息、出来なくなるヤツ?」

「そう、そう。心配しすぎなのよね。

小さい子供じゃあないのよ?私。

それに、出会った頃から、もう、5年も、

経っているんだよ?煩い小姑みたいだよ。

だから、彼が居ないと、伸び伸びよ。

今日は、おひとり様を、満喫するんだから。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る