第25話

「「「お疲れさま〜」」です」




みんなで乾杯して注文したものをパクパクと私は食べ始めた。

このお店は料理が美味しい、食事だけでも満足出来るのだ。




「藤崎も5年目か」



「はい」



「お前、この仕事好きか?」



「はい、」



「ホントは雑誌編集部志望だったんだろ?」



「はい、そうでした。内定もらった時は」



「異動願、出すのか?」



「少し前までは考えてました。でも、今の部署のやりがいが漸くわかってきたところなんです。もっと知りたいって気持ちが強いので、今は異動願は考えてないです」



「そうか」



「仲川、良かったな〜」



「は?なんで俺が、」



「え、私が異動しちゃったら寂しいですか?」



「バカか、んなわけねぇだろ」



「冗談ですよー」



「(素直じゃねぇな~)」




普段は少し厳しめな仲川さんも飲みの席だとこうしてちゃんと話を聞いてくれるので、最初は先輩と飲みの席なんて、憂鬱だと思っていたけど今では楽しんでる自分がいる。

特に、仲川さんは私が仕事の事で行き詰まってるのに気づいてるのか、タイミングよく飲みに誘ってくれるので今まで何度も助けられている。




「ね〜、藤崎さんは彼氏とかいらない感じ?」



「………え?」



「おい、それセクハラだろ」



「だって稲本ちゃんが合コン誘っても断られるって。仲川が仕事させすぎるからだって、こないだ文句言われたんだろ?」




稲本さんとは同じ部署の女性の先輩だ。

いい人なのだが、度々合コンに誘われることがあって断るのに毎回苦労している。




「合コン、好きじゃないんです……」



「まあ、好きなヤツの方が珍しいかもな」



「そうかぁ?俺は好きだけどな〜」

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