第2章

第13話





火曜日



今日を乗り切れば明日は柾木さんに会いに行ける。

週が明けて頑張れてるのも明日という日があるからだ。

なのに、こんな日に限って担当の先生から珍しく締切に間に合わないとの連絡があった。




「小野田さん、佐々木先生から原稿が今日中には上げられないと連絡が来ました」



「佐々木先生が?それは珍しいな、いつなら仕上がるって?」



「明日の夜までにはとのことです。でも、それだと間に合わないですよね」



「うーん、そうだな。なんとか明日午後一までには上げてもらえるように出来ないか頼んでくれ」



「わかりました」




席に戻って、早速佐々木先生に連絡してみるものの、電話には出てくれず、メールにも返信はない。

先生によって原稿をPCに打ち込んだり、手書きだったりとバラバラなのだが、佐々木先生はPC入力なのでやり取りはPCでしていたのだが、このように連絡が取れなくなると仕方がない。直接お宅へと出向くことになる。

しかし、それだけは避けたかった。なぜなら




「状況次第では大阪に泊まりで大丈夫だから」



「えっ、あ、はい、わかりました……」




佐々木先生のお宅は大阪にあるのだ。

以前までは東京だったのだが、先生の旦那さんの転勤で先月転居されたのだ。

新幹線の終電までに目処がつかなければ今日中には帰れないかもしれない。

頭に巣食う不安を仕事なんだからと、なんとか追い出して、東京駅へと向かった。

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