第3話
いつもなら、おしゃれなカフェに一人でなんて私には敷居が高くて、入ろうなんて思わなかった。
でも、この日の私は仕事で上手くいかなかった事や怒られた事を癒やす何かを求めていたのかもしれない。
ふらりとコーヒーのいい香りにつられてそのカフェのドアを開けた。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「一人、です」
「空いてるお好きな席へどうぞ!」
大学生くらいだろうか、ボブヘアを金髪に染めた明るい声の店員の女の子が案内してくれた。
私は通りが見える窓際のカウンター席に座った。
テーブルにあるメニューにチラッと目を向けて、どこのカフェに言っても、いつも同じものを頼む私はここでも
「すみません」
「ご注文お決まりですか?」
「はい。アイスラテをお願いします」
「かしこまいりました!」
待っている間にバッグからスマホを出して、上司に仕事を終えた旨のメッセージを送った。
上司から「お疲れさま」とメッセージが届いたのを確認すると、スマホをバッグにしまった。
窓の外を見ると通りの反対側に大きなマンションが見えた。20階建て位でまだキレイで新しそうだった。
「(いいなー、海が見えて景色もいいんだろうな。こんなとこに住めたら最高だな)」
そう思いながらボーっと眺めていると
奥の厨房から目の前のカウンターに店員さんが現れてその手にはエスプレッソとミルクがキレイに2層に分かれているアイスラテが持たれている。
そして、それを持って私の前に来ると
『お待たせいたしました』
テーブルに、アイスラテとケーキが置かれた。
私は思わず瞠目した。
「あ、あの、私ケーキは頼んでないんですけど…」
『試作品ですので、良かったらお召し上がりくださいませんか?』
「いいんですか?」
『はい、ぜひ』
アイスラテとケーキから視線をカウンターの中の店員さんへと再度向けた。
目が合った店員さんに会釈をすると、すぐにまたケーキへと視線を戻した。
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