君がいたから私は。

せとか

高校入学

第1話 星空

「もう嫌だ」

その一言とともに”あの時”の記憶が鮮明に蘇ってきた。あの日から、かなりの頻度で、夢に出てくる。


私――星空(せいら)はこの日、高校生になった。

気分は晴れ晴れ、なんてものとは程遠い。入学の挨拶されている間も、あることがずっと、私の中に重くのしかかっている。


自分がみんなと見てきた世界が、"あの日"から自分にしか見えていない景色になってしまった。


ぼんやりしていたが、気づいたら、HRも終わって、みんな帰り支度をして帰るところだった。

置いていかれたくないと思って、慌てて混ざろうとしたがやめた。

もう2度と同じ思いはしたくなかったから。信じていた人に裏切られるほど辛いことはないって、誰よりもわかっているから。誰とも関わらないで、ひっそり生きていこう。そう決めてたのに、君は声をかけてきた。


「あのさ君、名前は?」

急に声をかけられて、戸惑っていたら君が言った。


「僕は、南雲朝陽。えっと、ほしぞらちゃん?」

「せいらです。ほしぞらって、、、」


せいらと最初から読める人は少ない。だけど、ほしぞらってそのまま読む人もなかなかいない。というか、初めてだ。


「ねえ、僕と一緒に 」

何か言いかけていたが、聞こえないふりをしてそそくさと出てきた。感じ悪いって思われたかな。でもこれでいい。誰かと関わってもろくなことはない。ひっそり暮らす方が自分のためだから。そう言い聞かせて、家に帰った。



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