第14話
手当の甲斐あって、俺は自力で歩けるようになった。
……というか、そもそも1人では歩けないほど傷むわけじゃなかった。
きっと捻挫というほどのものではない。本当に少し捻っただけだったと思う。
小崎に「立てない」なんて言ったのは半分当て付けみたいなもので、本当は少し無理をすれば歩けないこともなかったのだ。
手当てが終わった頃に現れた保健教師に、骨折ではないとお墨付きをもらい、俺達は保健室を出た。
あの保健の先生は、変なところを勘ぐってくるから苦手だ。俺の足を見て、歩けない程の捻挫じゃないなんてことがバレてなければいいけど。
保健室を出るときに、思いきって小崎に問いかけた。
「────小崎」
「……なんですか?」
「――小崎は、大丈夫なわけ?」
「………………。」
そう問えば、小崎は驚いたように暫く固まっていた。そりゃあそうだろう。俺が小崎に個人的に話し掛けたのは、おそらくこれが初めてだ。
――まあ、一応巻き込んだのは俺だし、小崎は先生にも見てもらっていなかったし。
一応、俺は常識人だし。
「……だいじょうぶです」
しばしの沈黙の後、小崎は引き吊った表情でそう答えた。
ほら、やっぱり俺にむかっては敬語。
お前は違うんだ、と線引きされた気分だ。
――なんだよ、そこまで怖がることねーだろ。一応気にしてやったってのに。
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