第5話

「久しぶり」




小高い丘にあるその場所に立ち、小さく呟く。




返ってくる声は、ない。





マナが交通事故で突然亡くなったのは、3年前。




忘れもしない。



あの大雨が降っていた、7月7日の夜だった。





その日私は、たまたまミサトと二人で会っていた。



マナも休みだから誘えば良かったと、その時二人で話していたけれど。

その言葉通りにしなかったことを心底後悔したのは、翌日になってからだった。





翌日。


事故のニュースを見たミサトから職場に電話が掛かってきて、私は唐突にその事実を知った。




7月7日、その夜に起きた出来事を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る