第2話
足を踏み入れた路地には、白や水色、ピンクや黄色でカラフルに彩られている提灯が飾られていた。
提灯と露店に灯された明かりが、まだ明るい午後の太陽の光の中、これから訪れる夕暮れを今か今かと待ちわびている。
いつもは無機質に見えるコンクリートの街並みが、この日ばかりは活気に満ち溢れた空気を纏う。
やがて暮れる街並みを頭に描きながら目を細め、束の間、この明かりを纏う景色に想いを馳せた。
きっと、とても綺麗だ。
高校の時、マナとミサトの3人で来たことを思い出す。
途端に懐かしさが溢れてきて、胸一杯の切なさに襲われた。
あの日の笑顔。
彼女たちの笑い声。
光を放つようにきらきらしていた時間。
全てが、鮮明に脳裏に蘇る。
それらを振り切るように、小さく首を横に振った。
自分の記憶の波に呑み込まれてしまう前に。
すっと瞼を伏せ、足早にその通りを抜けた。
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