1st stage

きっかけ

第1話

「おい、あんた」



多くの人が溢れている雑踏の中、周りの音を遮るかのように低い声が耳に届いた。



それでも振り返る事をしなかったのは、自分に掛けられた声ではないと知っていたから。



自分の左腕に付けられた時計を見て、小さく溜息。


待ち合わせしていた彼氏が、15分遅刻。



最近こんな事が多いから慣れっこだけど、メール位くれてもいいと思う。

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