第78話

「本当は、フランスで、いろいろ考えたんですよ」



斎藤さんは観念したかのように話し始める。



「前原さんには何か違う、形に残るようなものを贈りたいけど、アクセサリーとか、彼氏でもないただの隣人が渡したって重いよなーとか。引かれるかなーとか」



照れ臭そうな斎藤さんの表情は、初めて見る。

すごいレアだ。


なんか。



「愛おしいですね!」



ハキハキとした元気な声で言えば、斎藤さんはぎょっと私を見た。



「何か変なこと言いました?」

「い、いえ、良いんです気にしないでください。まあとにかくいろいろ葛藤して結局無難にキーホルダーになりました」

「可愛いですこれ。今日皆誉めてくれました」



そう言ってスクールバックに飾ったキーホルダーをつんとつついたら、斎藤さんは照れ臭そうに、だけど嬉しそうに、はにかんだ。

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