第45話
映画が終わったあと、少し遅めの昼食がてら近くのファーストフード店に二人で入った。
同じように試写会帰りの人で混んでいた店内は、多分ネタバレの宝庫。
まだ見てなくてこれから見ようとしてる人がいたら地獄だ。
「面白かったね!」
「うん」
映画は、存分に楽しめた。
小説嫌いだけど家に帰ったら隆二から原作借りようと思うくらいに面白かった。しかも試写会だからタダ。
富井くんグッジョブと言いたいくらいだった。
「俺は竹下がエリちゃんに告白されて、ずっと一緒にはいられないからって、他の理由つけながら断るシーンがグッときた。自分も好きなくせに身を引くのが、逆に男らしいというか」
「うんうん。あとさ、エリちゃんが竹下が未来人だって気付いてたのに結局最後別れるときもそれを言及せず他愛もない話をしてあげる優しさが素晴らしいと思った」
「弟に、原作読んでても納得いくと思うって言ってあげて良いと思うよ」
「本当?良かった良かった」
二人で余韻に浸りながらポテトをばくばく食べた。
帰ったら隆二におすすめしてあげよう。とホクホクした気持ちでオレンジジュースを口につけたとき。
「ところで百合ちゃん、俺が百合ちゃんに惚れた理由って、話したっけ?」
そんなすっとんきょんなことを言われ、ちょうど飲み始めたオレンジジュースが気管に入ってむせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます