第39話

「となると話は変わってくる……」



暫く黙ってから、遠慮がちに言った。



「そうなの?」

「とりあえずこのページの中だとこの人とこの人の方が格好いい。あ、この人には勝ってるかな」

「ふうん……」

「優しそうな顔だなあとは思うけどね」



ちっちは勢いよく雑誌を閉じて私に返した。


受け取りながら、斉藤さんは確かに優しい。

それは顔に出てる。


そう考えた。


いつもふわふわ笑ってるイメージだし、怒った顔が想像つかない。

あの笑顔はただ優しいだけじゃなくて、いつも私を不思議な気持ちにさせる。



「私もう帰るね?まえほっぴーもそろそろ出た方が良いんじゃないの?」



よっこいしょ、と言いながら立ち上がったちっちを見上げる。



「え、もう?」

「私も暇じゃないの。休日だし」

「休日は休むためにあるんだよー」

「……まえほっぴーって本当に高校生らしくない。ほら、一緒に出よっ」



うぁーい、と言って立ち上がる。


立ち上がると余計ワンピースの丈の短さを実感して、なんとなく落ち着かない。

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