斉藤さん、赤くなる

第28話

「ちっち、ホーリー、どうしよう……」



月曜日。

また二人より後に登校した私は、さっそく例の件を話さずにはいられなかった。


何事かと二人が私を見る。



「富井くんと映画見に行くことになった……」

「ええっ!?」

「はあっ!?」



二人がのけ反るように驚いた後で暫くの沈黙が流れた。


二人とも芸人顔負けのリアクションをしてくれて、それは少し元気をくれるけども。



「イケメンパワーに負けたかまえほっぴー」

「まえほっぴーがそんなのに負けるわけないじゃん。恋愛なんか興味ない枯れた女なのに」

「弟が勝手にライン返信してガッツリ約束取り付けて」



ちっちの〝枯れた女〟という言葉には敢えて触れずに、スカートのポケットからスマホを取り出して例の画面を二人に見せた。



「うわあ……これ見るからにまえほっぴーの返事の仕方じゃないよ。普通気付きそうもんだけど」

「本当だ。まえほっぴーの返事なんか半数が〝むり〟〝りょ〟〝へえ〟だからな。こんな顔文字とかつくわけねえのに」



机に鞄を置いて椅子に座って、項垂れる。


ちっちがぽんぽんと優しく慰めるように私の背を叩いてくれた。

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