第8話

「おはようまえほっぴー」

「はよー」

「おっすまえほっぴー」

「おっす」



教室に入ると、いつもと同じくちっちとホーリーがはじめに声をかけてくれる。



ちっちは中村千紗。

金持ちでしょっちゅう「家族旅行なのー」とか言って学校を休む。一見適当そうで、案外頼りがいがある。


ホーリーは堀井拓海。

とにかく声がでかいチビ。いつも自信に満ち溢れた、愛すべき馬鹿。



私たち三人は小学校中学校と同じで、高校で初めて、三人まとめて同じクラスになった。


まえほっぴーというのは私のあだ名。

ちっちとホーリーみたいなあだ名は良いけど、まえほっぴーなんてあだ名はださくてこの二人しか呼ばない。



なぜかホーリーが男物のファッション雑誌を広げていた。


ちっちと同じように私も覗きこむ。



「ねえまえほっぴー、ホーリーね、モデルのオーディション受けるとか言ってんだけど」



見るとそれは、モデルオーディションのページだった。

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