第3話

斉藤さんは家に入ると、真っ先にスーパーのレジ袋から野菜数種類とたこわさとスルメを冷蔵庫に閉まった。

あとは焼酎の瓶が一本。



斉藤さんの家は、同じマンションだから同じ間取りだけど、やっぱり一人暮らしだからだろうか、広く感じる。



「コーヒーで大丈夫ですか」

「……」

「ココアにしますね」

「ありがとうございます。すみません、いまだにコーヒー駄目なんです」



私の無言の訴えを感じ取ってくださった。さすが大人。



「そこ座っててください」



そう言いながら斉藤さんが視線を向けた先には、低めのテーブル。


側にソファも置いてあってどちらに座るべきか一瞬迷って、結局地べたに座った。側にテーブルがあった方が落ち着く。



しかしこのマンションの部屋を若い人が一人暮らしとして使うっていうのは、まあまあ贅沢だよなあ。

部屋とかもて余してそう。


ぼんやり考えていると向こうの方にモデルさんの部屋には似つかわしくない光景が見えた。



「お待たせしましたー」



斉藤さんがにこりと笑ってテーブルの上にココアを置いてくれた。

甘い香りがなんだか気分を落ち着かせてくれる。

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