飯塚和也・嶋田拓実・菊田千尋②

「ええっと、改めて、お疲れ様でした」


『お疲れ様でした』


『お疲れ様〜』


 和也が画面に向かって頭を下げると、拓実と菊田もつられて頭を下げた。今回は全員自宅からの接続らしい。それぞれの背景には見慣れた自室の様子が映されていた。


「映像は確認していただけ……てますよね?」


『もちろん』


『取り敢えず通しで一回ね』


「えっと、取り敢えずあれでサブチャンネルの方に出そうと思うんですけど、ご意見あれば、お願いします」


『俺は良い感じだと思ったけど、キクチさんは?』


『うーん、俺的にはさあ……』


「はい」


『ちょっと映り過ぎ、というか』


『ヤラセっぽい?』


『そうねえ、ちょっと。いやヤラセじゃないのは自分が一番知ってるんだけどさ。前回の動画に続いてこれだけ、ねえ、今回も映っちゃってるとさ、さすがにちょっと「ヤッてんな」って思われないかなあ?』


「あー、まあ、そうですよね。それはわかります」


『ごめんね。いや、でも大丈夫よ。さすがにさ、これだけ撮れ高あるのに出さないってのは、ねえ』


『サブチャンネルだし、良いんじゃない? それともメンシプにする?』


「キクチさんはどう思いますか?」


『うーん……いや、これはサブで、行こうか』


「一応僕のディレクションとしては、確かにちょっと顔の部分にフォーカスし過ぎちゃうとやり過ぎ感──いや、ヤッてないんですけどね──出ちゃうと嫌だったんで、最後は音声で落とした感じですね」


『あれさ、そう、最後の音声さ、あれマジ?』


「テロップでリードしてるところはありますけど、音声自体はマジです。色々加工はしているので、結果的にそう聞こえるようになった、って可能性はありますけどね」


『なるほどね』


『サブで行こうサブで。メンシプじゃあやっぱちょっと勿体ないよね』


「了解です。じゃあ来週■曜日、サブの方でアップします。SNSで告知も出しちゃいますけど、本当に良いですね? ファイナルアンサー?」


『ファイナルアンサー』


『ファイナルアンサー』


「はい。じゃあこの件はこれで。次、えーっと、次回の撮影スケジュールの確認で──」

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