3. 出会い

…い…………ぞう……


お……ろ………う


お……お…き…こぞ…


「おい!起きろ!!小僧!!」


誰かの声が聞こえて、僕は重い瞼をそっと持ち上げた。

辺りはすっかり暗くなり、陽は水平線へと没したようだった。

声のした方向を見上げると、僕と同じ年齢ぐらいの少年が横に立っていた。


彼は僕が目を開けたことに気づくと、ニヤッと笑いしゃがんで僕の顔に両手を伸ばした。


「いだだだだ!なにふるんでふか!」


と、いきなり頬をつねり始めた。

抵抗するも圧倒的な力量差でなかなか外すことができない。


「おお、もちもちじゃな。」


散々引っ張った次は、頬をこねくり回しはじめた

人の話を聞けぇー!


10分ほどこねって、彼は満足したのかやっと頬から手を外した。


「はぁ……はあ……あーー……。」


(やっと終わった…)


「何しに…ここへ……きたんですか……。」


突然現れた少年に頬をこねくり回されるなんて前代未聞すぎる。

僕はもうこの時点で疲労困憊だった。


「……何をするも何も。ここは我の家ぞ。」


彼はキョトンとした顔をしてサラリと変なことを言った……全く意味が分からん!!


「はぁ……。」

「ま、正しくは『玄関』だけどな。」


呆れて変な声を出すと、くふふっと彼は笑い、その場に腰を下ろした。

僕もずっと寝転がったままだと失礼なので、起き上がって向かい合うように座った。

にしても急展開すぎて頭がついて行けてない。こいつは一体誰なんだ。


「失礼ですが、お名前は?」

「名を聞く前に名乗るのが礼儀じゃぞ。小僧。」


「それは失礼。僕はレオ。レオ・アルナードです。」

頭をぺこりと下げて自己紹介を済ませた。これで文句はないか…?


「歳はいくつじゃ?」


…なんだこいつ。


「その前にあなたのお名前を聞かせていただいても?」

ムッとして言い返してみると


「我はリエル。リエル・ムーナイトじゃ。」

…案外素直に答えてくれた。


「リエルさんですね。それでなぜ僕のところに?」


「だ!か!ら!ここは我の家だと言っているじゃろう?何度言ったら分かるんじゃ?

……アホなのか?」


「アホじゃありません!ついでにバカでもありません!!」


「……にしても小僧。やけに言葉遣いが大人らしいな。こちらから見ればただのガキんちょにしか見えないのじゃがな。何故じゃ?」


そう言って彼(?)は少しだけ目を細めた。

改めて真正面から向かって見ると、本当によく整った顔立ちをしている。

さっぱりと耳の中ほどで切り揃えた黒髪。切長の翠玉のような瞳。

鼻筋はスッ…としていて、側から見ればただの美少年にしか見えない。

……喋り方を除いて。


「それは僕が農家の『跡継ぎ』だったからですね。」

「ほぉ……。ちなみにそれはなぜ『跡継ぎだから大人のように見える。』のじゃ?」


「……僕の家、アルナード家は元々…って言っても先代辺りからですが、ベリーを栽培し、出荷するようになったんです。そしてそれは上流階級の方にまで親しまれていて、出荷する時にお会いする機会が度々あったのです。」


「ほぉ……」

先程と同じく呟いてから、リエムさんは目を瞑って何かを考える素振りを見せた。


それからぱっと目を開いて口を開いた。



















お……ろ………う












誰かの声が聞こえる



















お……お…き…こぞ…




















「おい!起きろ!!小僧!!」


閉じていた瞼をそっと持ち上げると、僕と同じ年齢ぐらいの少年が立っていた。

そいつは僕が目を開けたことに気づくと、ニヤッと笑い僕に向かって何かを振り下ろした。


「いだっ!いだだだだ!」


その直後、鋭い痛みが太ももあたりに走った。

なんだこれ……たぶん鞭のようなものを打たれた。


「ちょっ!いきなり何するんですか!?」

「何をするも何も。ここは我の家ぞ。」


キョトンとした顔をしてサラリと言ってる意味が分からん!!


「はぁ……。」

「ま、正しくは『玄関』だけどな。」


くふふっと笑い、そいつはその場に腰を下ろした。

僕もずっと寝転がったままだと失礼なので、起き上がって向かい合うように座った。


にしても急展開すぎて頭がついて行けてない。こいつは一体誰なんだ。


「失礼ですが、お名前は?」

「名を聞く前に名乗るのが礼儀じゃぞ。小僧。」


「それは失礼。僕はレオ。レオ・アルナードです。」

頭をぺこりと下げて自己紹介を済ませた。これで文句はないか…?


「歳はいくつじゃ?」


…なんだこいつ。


「その前にあなたのお名前を聞かせていただいても?」

ムッとして言い返してみると


「我はリエル。リエル・レムラじゃ。」

…案外素直に答えてくれた。


「リエルさんですね。

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【初】「ただの農家」の跡継ぎだったはずですが? 蒼空らい @rai_aozora

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