4
第18話
その日の午後、キャロルと一番仲の良かったカレンというおばあさんが、病院に駆けつけました。お母さんのティナは、キャロルがとても回復するとは思えず、キャロルが一番親しかったカレンに電話をして呼んだのでした。カレンはハンカチを目に当てながら、マークに小さい声で言いました。
「マークは本当によくキャロルの世話をしてあげたね。マークと暮らすことができるようになって幸せだとキャロルは言ってたよ。キャロルの一番の自慢はマークだったんだよ」
隣に座っていたティナも静かな声で「マーク、今までグランマの世話をしてくれて本当にありがとう。大変だったわね......」とお礼を言いました。
マークの胸の内は複雑でした。あれ程、人々の評判を気にしていたマークですが、今日はカレンやティナの賞賛の声、お礼の言葉を素直に喜べません。喜べないどころか、マークは何か悪いことでもしたかのような気持ちになっていました。どうしても最近キャロルをほったらかしにしていたことが心に引っかかるのです。
マークは力無く「違うんだ。僕は嘘つきだったんだ。僕はみんなが見てない時は、全然グランマの世話なんかしてなかったんだ」と小さな声で言いました。
カレンはビックリして「おやおや、マーク。一体どうしたんだい?どうしてそんなことを言うんだい?」と聞きました。
マークはいたたまれなくなり、いきなり病室から走り去って出て行きました。カレンは「自分のせいで、キャロルがこんなことになってしまったと思ってるのかねえ?かわいそうに。よっぽどショックだったんだねえ」と再び目にハンカチを当てました。
ティナも「マークは子供なのに、ずっとキャロルの世話を頑張ってくれました。やってられないと思う時だって当然あったでしょう......」と息子をかばいました。
病室から出て行ったマークは、その後病院から出てしばらくの間走っていました。そのうち走り疲れたので歩いていくと、小さな公園がありました。
ちっちゃい子が2、3人遊んでいるだけの静かな公園です。近くのベンチにお母さんらしき人が座っていて、子供達が遊んでいるのを見守っているようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます