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第1話

「ナツ、今日こそ合コン行こうぜ!」




定時になるなり同期の篠原しのはらが俺の部署に訪れて声をかける。



最近はずっとこの調子だ。



といっても、俺と同じ部署で篠原の合コン仲間の先輩を迎えにいつも来るだけだ。



ついでに俺に声をかけるのは篠原の癖になっているだけなのか、篠原の優しさなのかはわからないけど。




「俺はパス」




といつも通り返す。




「ちぇ、つまんねーの。お前来るって言うと女の子たちの食いつきがいいのに」




…いや、癖でも優しさでもなんでもない。こいつの私利私欲だった。





「ナツ、合コンでも行かねーと彼女できないよ?」




「うっせーよ」




「ナツより先に彼女作っちゃお!」




楽しそうに言う篠原に軽く返し、帰路についた。

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