過去を知る男

第1話

ディスプレイの光に青く照らされた部屋。本田剛はノートパソコンの置かれたデスクに向かい、キーボードを叩いている。


管理>

本田さんが入室しました。


管理>

モトさんが入室しました。


本田>

モトさんようこそ!


モト>

こんばんは。


本田>

はじめまして! だよな? じゃなかったらスマソ笑。


モト>

直接話をするのは今回が初めてだね。僕は君のこと前からよく知ってるけど。


本田>

そうなんだ? おれのページによく来てんの?


モト>

いや。そうじゃなくて。中学生の頃から知ってるよ。


本田>

まじで!? だれ? 同中?


モト>

そうだね。同中ってことになるね。ついでに学年も一緒だったよ。


本田>

まじで!? クラスは? モトなんてやついたっけ? 笑。


モト>

三年三組だったよ。君と同じ。


本田>

まじで!? ←そろそろしつこいな。モトって本名?


モト>

学校ではそう呼ばれてたよ。やっぱり憶えてないんだ?


本田>

いやすまん。全然憶えてない。っていうかほんと? 担任の名前は?


モト>

多賀でしょ。顔のでかい。美術の先生。


本田>

おお! すげえ。まじだ。でも憶えてない! ごめんなさい! 笑。


モト>

いや。そうだろうと思ってたから気にしなくていいよ。それに僕がここに来たのは、君に僕のことを知ってもらうためだし。


本田>

そうか。わざわざおれにお前のことを知らせるために来たのか。お前、軽くキモイぞ笑。


モト>

そうかもね。でもそれが僕の今一番やらなきゃいけないことなんだよ。僕はもう消えたいんだ。

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