第6話 お風呂
スラデール村をあとにした俺たち。
前回の拠点だった洋館から旅立って3,4日。
風呂に入っていない。
「あ"あ"ー、お風呂入りたーい!
あんた、なんとかしなさいよ!」
おいおい、俺の能力じゃどうにもならんぞ。
「そうだなあ、川が近くにあるんじゃないか?」
俺がそう言うと、サラは驚いた。
「あんた、なんでそんなことがわかるのよ!」
「ああ。地面を掘ったらな、少しだけ土が湿っていたんだ。
つまり、水源が近くにあるってことだ。」
「あんた、そういうとこ、妙に考えてるのね。」
なんだか、褒められているんだかよくわからん。
ツンだけじゃなくて、そろそろデレがほしいよおいら・・・。
「そうだ!魔物をファイアであぶったらどうだ?
そしたら、体を冷やすために川目掛けて走っていくだろ?」
サラは指をパチンと鳴らした。
「ナイスアイデアね!やるじゃないスグル!」
あたりの魔物を探すと、巨大イモムシがいた。
巨大イモムシを見るやいなや、サラは叫んだ!
「ちょっと手加減したファイア!!!」
イモムシ目掛けて小さな火の玉が飛んだ!
じゅっ!!!
「きゅぴーーー!!!」
巨大イモムシがやけどを負い、意外にも速い速度で逃げていった。
「追いかけるわよ!スグル!」
そうして、俺たちは巨大イモムシのあとを追った。
10分くらい追いかけただろうか、川が見えてきた!
「ビンゴね!」
ざっばーん!!!
巨大イモムシは川に飛び込み、癒しの表情を見せた。
「川は見つけたが、ここは下流だ。
たぶん、魔物のフンとかがいっぱいあって汚いぞ。
水浴びするなら上流だ、いくぞサラ!」
サラはもう川に入る気満々だった様子だが、俺に諭され、俺のあとについてきた。
「あ、あんたが仕切るんじゃないの!
先頭は私よ!」
そうして俺たちは川の上流へと向かった。
しばらく歩くと、滝が見えた。
川の水は澄んでいて、滝つぼの底の方まで見える。
「わああ、私、滝見るの初めて!」
サラはすぐに裸足になり、川に入った。
「見てースグル!冷たあーい!」
歳はまだ16。まだまだ子供だなあと思いつつ、楽しむサラの姿に思わず俺も笑みがこぼれる。
サラはしばらく水遊びを楽しむと、ムッとした表情でこちらを見た。
「なんだそんな顔して?楽しいんじゃないのか?」
「あ、あんたね!いつまでここにいるのよ!
乙女が水浴びをしようとしているの!
はやくどっか行きなさい!この変態!」
おいおい、いきなり変態呼ばわりかよ・・・。
「はいはい、お嬢様。」
俺は茂みに隠れ、サラの目の届かないところでじっとしていた。
俺は久々に1人になったので、物思いにふけった。
はーあ、母さんと父さん、今頃何してっかなあ・・・。
俺の葬式、無事終わったのかな。
みんな悲しんでくれたのかな。
やり残したことと言えば、ずっと好きだったミユちゃんに告白できなかったこと。
それと、童貞だったこと。
たぶん、能力・全身斬鉄剣のせいで俺、今世も童貞だろうなあ。
それどころか、女の子に触れることもできないんだろうなあ。
・・・。
いや待てよ、待て待て待て!
サラに平手打ちされたとき、サラの右手は粉微塵にはならず、かすり傷程度だった!
俺の能力、抑え込んだりできるのかな・・・?
ちょっと希望が湧いてきた♪
そんなことを考えていると、サラのいる方から物音がした。
バサバサッバサバサッ!
「きゃああああああ!!!」
サラの声だ!
俺はサラの武器!サラの矛であり盾だ!
絶対に、死んでもサラを守る!
俺はサラがいたところへ戻った。
すると、裸のサラがいた!
お、お、お、お、おっぱい・・・!!!!!
やべえ、ずっと見ていたい。
俺の斬鉄剣が斬鉄剣になりかかったころ、俺は我に返った。
いや、今はサラの身が危ないんだ!
空を見上げると、巨大なガが飛んでいる!
さっきの巨大イモムシの親か!?
「私、ガは無理なの!!!
助けてえ!!!」
「ああ、今助けるよ、サラ!!!」
すると、俺の声にサラが気付いた。
サラはとっさに育ち盛りの胸を隠す。
「きゃああああ!!!
こっちくんなああああ!!!
見るなあああ!!!」
ええ・・・。
助けろといったり、来るなと言ったり・・・。
しかし、助けようにも、相手は空を飛んでいる。
どうしたものか。
俺は少し考えた。
そうだ!
「サラ!少しの間耐えていてくれ!」
俺はそう言うと、滝のある切り立った断崖を登った。
そして、ボロい服を介して木のツタを掴んだ!
そのまま、ターザンのように飛び降りた!
「アーアアー!!!」
俺は叫びながらツタを掴んで宙を飛び、巨大なガ目掛けて突っ込んだ!
俺だってこんな気持ち悪い魔物、触りたくないよ。
でも、仕方ないだろ、サラのためだ!
俺は巨大ガの腹にヒットし、そのはらわたがぶちまけられた。
当然、サラにも降りかかった。
「おえええ・・・!
あ、あんたね!乙女になんてもの浴びせるのよ!」
サラは怒っている。
まったく、俺のご主人はツンツンだ。
俺はそのまま水中に飛び降りた。
ざっばーーーーん!!!
---
ん?
なにやら右手に柔らかいものを感じる。
こんな柔らかくてもちもちしているものなんてこの世にあっただろうか?
目の前にはサラがいる。
サラは俺を見つめ、少し身体を震わせながら顔を真っ赤にしている。
「サラさん・・・?」
「あ、あ、あんたねえ・・・!」
俺は恐る恐る右手に目をやる。
すると、サラのサラさんをがっしり揉んでいた・・・!
その柔らかさたるや、天にも昇る気分だった。
あ、俺、いま死んでもいいかも・・・そう思えるほどに。
俺はみぞおちをサラにグーパンチされた。
グフっ・・・!
痛くはない。
てか、サラ、俺に触れて大丈夫なのか?
「あんた!いつまで触ってんのよ!」
俺は最後にもう3もみだけして手を離した。
「す、すまない、わざとじゃないんだ、サラ!」
「あんたねえ、離すときわざと揉んだでしょうが!!!」
ぎくっ!バレてた・・・。
やはり女の子のここは繊細なのだろう、俺の下心もお見通しだった。
バチンっ!!!
俺は最後に平手打ちを食らったのだった・・・。
<作者あとがき>
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