涙と時間のクロスロード
早乙女萌奈美
冬森莉々華
冬森莉々華、新高校3年生、17歳。
今年、早くも最高学年かつ受験生だ。
時は早くもすでに三月。莉々華は気づかぬうちに
受験生0学期を迎えていた。
しかし、莉々華は全く勉強にやる気が起きない。それどころか
好きなアニメに夢中になって抜け出せなくなっていた。
そんなとき、母親に叱られた莉々華だった。
「あんた、馬鹿なの?部活もそんなに忙しく無いはずなのに
いまあなたが目指す学校の子たちはみんな必死に頑張っているのよ、もう」
「わかっているって…でも無理だよ…勉強嫌いかもしれない…」
何時間かの説教をくらっていた莉々華はもうへとへとだ。それどころか、
泣きじゃくって顔もめちゃくちゃだった。
「勉強ができてなくてもやるのよ」
「…うう…」
ついにへたりこんでしまった莉々華を見て母は呆れた顔をしているのだろう。
莉々華は見なくてもわかったがそれでもまだ蹲っていた。
ーわからない。何が。自分が。
✧
高校生になってから冬森莉々華は実は真面目で優秀だった。
学校の成績はいつも上位。それなのに何か足りなかった。
勉強はやはりテスト2週間前にならないとやる気はでず、その期間が終わるとすぐ
スマホにアニメだった。
そんなこんなで受験生。2週間しか耐えられない莉々華にとって長期間の
受験期間は相当ストレスであろう。
じとっとしたものを感じ、莉々華は慌てて服を見ると水たまりのように
服が涙を吸収し、滲みていた。
勉強ができない悔しさとは裏腹になにかくつくつとした謎めいたものが
湧いてくるようなーそんな気がしていた莉々華はこのあと迫る自分の失態と
急展開とに知りもしなかった。
✧
莉々華は知らなかった。この時自分が欠けていたことを。
莉々華は気づこうともしなかった。この先人生の転機が来ることを。
「ふああ。」
それはいつもの月曜日の朝だった。ふつうの学校の日で莉々華は
起きていつもどおり通学路を歩いていた、そんな時。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます