30歳男性M.Tさん「やりたいことが多すぎる」
【お悩み】
初めまして。
都内在住、30歳の男です。
私の悩みは「やりたいことが多すぎる」ということです。
私は大きいものから小さなことまで、やりたいことが多すぎて頭がパンクしそうになっています。
例えば、すごい大きなことで言えば、脱サラして、田舎に住んで、小さなカレー屋を営みたいです。
生まれてこの方都内に住んでいるのですが、人も多いし家賃も高いしで、田舎に引っ越したいです。
また、私は料理が趣味なのですが、今の退屈な仕事よりも、趣味が仕事になるようなことをして生活をしたいです。
他にも、海外の音楽フェスにも行ってみたいですし、世界遺産巡りもしてみたいです。
国内でも47都道府県全てに宿泊する、という野望もあります。
小さいことで言えば、好きな映画の聖地巡礼もしたいです。
スター・ウォーズを一作も観たことがないので、一日かけて全シリーズを観たいです。
キャンピングカーで旅もしてみたいし、バンジージャンプもしてみたいです。
でも、大きな夢であればあるほど、今の仕事や生活を犠牲にする勇気が出ません。
仕事の安定を捨ててまで夢を叶えるのが怖いです。
ただ、こうやってウジウジしている間に老いていきそうなのも怖いです。
意気地なしの私に、一歩踏み出す勇気が出るような言葉がほしいです。
もちろん叱咤激励でも問題ありません。
顔も名前も知らない人にこんな頼みをするのも変だと思いますが、よろしくお願いします。
【お答え】
昨日、家の近くに猪が出たらしいです。
以前のお悩み相談の中でも触れたのですが、私は今神奈川県の県央エリアという、ちょうど田舎と都会の間のような環境にあります。
都心には車で1時間もあれば着く一方で、近所に猪が出る環境です。
神奈川県と聞いたら「おしゃれ」「繁華街」「ハイカラ」「近代的な建築」といったイメージを抱く方もいらっしゃるかと思います。
ですが、現実の神奈川県はそんなものです。
ちなみにそのイメージは、みなとみらいエリアには当て嵌る言葉です。
残念ながら私の住むエリアには「畑」「牧場」「ダム」「マイルドヤンキー」といったイメージが抱かれがちです。
それ含めて、好きな街なんですけどね。
さて、M.Tさんは東京生まれ東京育ちのシティボーイさんですね。
厳しいことを言えば、M.Tさんは田舎に幻想を抱いています。
私は長年、所謂フリーランスの仕事をしている、仕事のために都心に出る日もあれば、自宅でリモートワークをする日もあります。
一度仕事が軌道に乗れば、丸1週間リモートワークでも問題がない時もあります。
それでも、やはり仕事は都心に集中しているなと感じます。
M,Tさんは、田舎はスローライフで、都心よりもストレスが少ないというイメージを抱いているのではないでしょうか。
確かに、仕事によっては締切やノルマに追われることのない生活を送ることができるかもしれません。
しかし、現実は異なります。
住む場所によっても、様々な苦労があります。
私が住んでいる地域には学校も病院もコンビニもありますが、それでも基本的に生活の多くは車移動です。
これがより田舎だと、より全てが不便になるでしょうし、小さいストレスの量だけでいえば、都心に住むのとあまり変わらないのではないでしょうか。
カレー屋さんだってそうです。
結局は売上が立たないと生活できないですよね。
今M.Tさんが抱いている"やりたいこと"の多くは、都心の生活から逃げたいとか、仕事が辛いから逃げたいとか、現実逃避のような夢が多いように思えます。
それは"やりたいこと"ではなく"逃げたい場所"なのではないでしょうか。
とここまで、厳しい言葉を並べてしまいましたが、決して私はそれを否定しません。
むしろ「”逃げたい場所”が多い」だなんて、贅沢なことではありませんか。
私だって、全てを捨てて、逃げてしまいたい日もあります。
この街が好きだと言いましたが、たまにはもっと都心に住んでみたいなと思う時もあります。
事情もあって旅行にすら当分行っていないです。
ただそれ以上に守りたいものがあるので後悔はしていませんが、果たして私がもし今の生活から逃げたとして、どこに逃げたらいいのかも思いつきません。
M.Tさんには、ぜひ臆せず"逃げて"ほしいです。
後ろ向きな言葉に聞こえてしまうかもしれませんが、それでもM.Tさんは既に素敵な"逃走ルート"をいくつも頭に思い浮かべているではありませんか。
そして悩んでいる姿を見るに、M.Tさんは無茶をするようなタイプではないとお見受けします。
もし”逃げる”のあれば、きちんと"逃走ルート'を練ってから、実行に移すタイプの人間のはずです。
その練る時間こそが、これからの人生に深みを与えます。
そして練り上げた"逃走ルート"こそが、これからの人生を彩り豊かにします。
世の中には私のように"逃げ道"すら思い浮かべることができない人も多くいます。
ウジウジしている時間が勿体ないと思うのであれば、ぜひ一度M.Tさんの、人生の"逃走ルート"を練り上げてみてください。
そしていつか、M.Tさんの逃走記を、M.Tさんのお店でカレーを食べながらお伺いする日を楽しみにしています。
ありがとうございました。
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