38歳男性T.Uさん「どうしても許せない人がいます」

【お悩み】

初めまして。


私は38歳の会社員です。


どうしても許せない人がいます。


それは会社の同僚です。


その同僚と歳は変わらないものの、彼は皆から慕われる兄貴分的な存在です。


一方で、私自身は暗くはないものの、人と比べるとあまり明るい性格でもありません。


先月、私が担当している会社の案件のコンペに勝ち、いざ発注…というタイミングで、人事異動により、その同僚に案件を引き継ぐことになりました。


彼は明るく嫌味なく「あとは任せておいて」と言ってくれたのですが、その後あたかも自分がコンペで勝った案件だと言わんばかりに成果を高らかに社内でも発表し、周りからの評価もうなぎのぼりでした。


一方で私もある程度は評価をされたのですが、もっと多くの人に褒められたかった、というのが正直なところです。


本当は私が勝ち取った案件なのに。


もしかしたら自分の被害妄想かもしれませんが、1ヶ月以上たった今でも、この案件の進捗を彼が全体会議などで話すたびになんとも言えない怒りが込み上げてきます。


どうすれば彼を許せるでしょうか。




【お答え】

私は大学時代、バンドサークルに入っていたのですが、私と同期の男性とで共同企画したライブが、いつの間にか同期のみの手柄になっていた事を思い出しました。


共同企画とはいってもその実、ライブハウスの予約やタイムテーブルの調整、他の細かいタスクは全て私がやり、彼は打ち上げのお店の予約だけを担当していました。


ですが当日、ライブハウスに集まった出演者全員の前で彼は「今日はみなさんお忙しい中、自分が企画のライブに出演してくれてありがとうございます!」と、完全に共同企画であることは頭からは消えているかのような挨拶をしていました。


また打ち上げの席でも「みんな今日は本当にありがとう!」「みんなのおかげで最高の1日になりました!」など、私への感謝や労いもよそに、主催者然とした感動のスピーチを繰り広げていました。


あまりの全力の大演説に、あまつさえ感動して泣いている女子もいました。


打ち上げがお開きとなり、一本締めをしようとなったタイミングで、ようやく彼から「そういえば、やまひろも企画を手伝ってくれてありがとな!」と言われたのを覚えています。



正直、ライブハウスでの挨拶のタイミングでは、「こいつ許さない」と怒りが沸々と湧き上がっていました。


ですが、家路に着く頃には、不思議とその怒りはおさまっていました。


むしろ、先輩後輩を問わず、ライブ本番で楽しんでいるみんなの笑顔が思い浮かびました。


もちろん、褒められたかったですが。


他にも、打ち上げの席で一発ギャグをさせられる後輩、一気飲みで場を盛り上げる先輩、あわや居酒屋内で全裸になりかけて女性の先輩に本気で説教されている同期など、爆笑のハイライトが思い浮かびました。


もちろん、褒められたかったですが。


そして、打ち上げがきっかけとなる出会いもありましたが、それはまた追々話すとして。



お悩みに戻りましょう。


Y.Nさんは38歳と、私にとっては人生の先輩です。


おそらく、私のこれまでの人生よりも多い回数、こういった悔しい思いや辛い思いをしてきたのでしょう。


そして自己紹介を見るに、おそらく大学時代の私と同じ、所謂"自己肯定感が低いやつ"の一人なのではないでしょうか。


違うとか、一緒にするな、と思われていたら、申し訳ありません。


それでも、自己肯定感が高ければ、人に手柄を取られたとしても「もっとでかい手柄を取ってやる」「これで会社の業績も上がればみんなハッピーじゃん」と思えるはずです。


私も自己肯定感が低かったので「ここで『自分も企画者です』っていったら、ライブの熱が冷めてしまうかな」と勝手に思い込み、口に出すことができませんでした。


ですが帰り道に「でも、みんなが楽しかったから良いや」「ここから良いことありそうだな」と何とか自己肯定感を高めてみたら、いつの間にか恨みは消えていました。



同僚の方の言動に悩んでいるだけ、無駄な時間です。


それよりも、T.Uさんが感じている「許せない」という感情の根っこを見つけてみてください。


例えば、「私が頑張った努力を認めてもらえなかったのが悔しい」「彼が自分の手柄のように振る舞うのが腹立たしい」「もっと評価されたかったのに、それが叶わなかったのが辛い」といったような考え方です。


T.Uさんのお悩みを見るに、特に「本当は私が勝ち取ったのに」という思いと、「もっと褒められたかった」という気持ちが強いのかなと感じます。


この2つを認めてあげると、「ああ、私はちゃんと評価されたかったんだな」と自分を理解する手助けになります。怒りは我慢せず、ノートに書き出してみるのもいいかもしれません。


また、同僚の方が「あとは任せておいて」と言ったのは、もしかしたら本当に悪意なく、引き継いだ責任を果たそうとしただけかもしれません。


成果を「自分がコンペで勝った」とはっきり言ったわけではなく、あくまで「案件を進めた自分」をアピールした結果、周りがそう受け取った可能性もあります。


そして同僚の方が明るい性格で目立つタイプなら、自然と注目を集めてしまうのも仕方ない部分があるかもしれません。


もちろん、それがT.Uさんの努力を無視する言い訳にはなりません。


でも、「彼はわざと私を貶めようとしたわけじゃないかも」と考えると、少しだけ気持ちが軽くなるかもしれません。


何より、同僚の方がどう振る舞おうと、T.Uさんがコンペで勝った事実は変わりません。


その成果はY.Nさんの努力の結晶であり、誰にも奪えないものです。


同僚の方が評価されたとしても、T.Uさんの実績が消えるわけではありません。


もし同僚の方にスポットライトが当たっているように見えても、あなたをちゃんと見ている人は絶対にいます。


例えば、人事異動のタイミングで引き継ぎになったのは、T.Uさんのせいではないし、むしろ会社側の都合ですよね。


その時は「私が勝ち取ったんだ」と、ぜひ自分の中で胸を張ってみてください。


周りの評価が全てじゃないと割り切るのは難しいかもしれないですが、自分の頑張りを自分で褒めてあげると、少し気持ちが楽になりますよ。



そして「どうしたら彼を許せるでしょうか」というお悩みですが、無理に許す必要なんてないです。


相手を許せない気持ちをずっと抱えていると、疲れてしまいますよね。


そのエネルギーを、次の案件で「今度は私がちゃんと認められるように頑張るぞ」と自分を奮い立たせる方向に使ってみるのはいかがでしょうか。


同僚に勝つとかではなく、あなた自身のために。


T.Uさんにはコンペを勝ち取る実力があるのですから、次はもっと大きな成果を上げて、周りを「あっ」と言わせるチャンスが絶対あります。



私も、ライブの手柄を横取りした同期のことは、今でも許していないです。


それでも、それ以上に、楽しい思い出を作れたので、あのライブの一件は心から満足しています。


ちなみにその後、自業自得とはいえ、同期が周囲からの信頼を失うようなことをしてしまったことがありました。


周りが表面上は平静を装いつつも、裏で陰口を叩いてるのをみて、私はニヤリとしてしまいました。


不幸を笑う最低な人間だと思われるかもしれませんが、彼のせいで嫌な思いをした分くらいは、ニヤリとしても許されるのではないでしょうか。


要は、自己肯定感は高いに越したことはないですが、だからといって無理に嫌いな奴を許そうとして、心が暗くなるくらいなら、許さないままでも良いと思います。


それくらいの心持ちの方が、人生楽です。



最後に。


一発目のお悩みを投稿してくれてありがとうございます。


私も稚拙ですが、全力で答えていきます。


ありがとうございました。

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