カタセさんとタカセくんの苦労

第1話

「おーい、"カタセ"いるかー?」






朝のHRが終わった後、担任のそんな声が聞こえた。




話していた友達に断りを入れて、あたしは担任の所へ向かう。






「何ですか?先生」



「ん?何が?」



「何がって、先生今あたしのこと呼びましたよね?」



「いや、俺は"タカセ"を呼んだはずだけど…あ。まさか俺"カタセ"って言ってたか?」



「…また間違えたんですか」



「ごめんごめん!お前ら名前似てるから本当に間違えるんだよ!悪いけど"タカセ"を呼んでくれるか?」



「…ジュース一本ですからね」







申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる担任にはぁ、とため息を吐く。




そしてあたしはくるりと踵を返し、教室の後ろで固まっている男子の所へ向かった。





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