第1話 この世界に魔法はないし、魔女もいない。
母が死んだ。入院から約3ヶ月、筆者が7歳になった誕生日のひと月後のことだった。その日は目が覚めた瞬間から夢のようにふんわりとしていた。最期に個室で家族と過ごせるように計らってもらった数日だったのだと思う。
気がついたら葬式に参列していた。親戚が大勢集まり、通夜ののち寿司を食ったことは覚えている。小学校の同級生も来てくれた。
翌日の火葬で長い箸のような器具で母だった骨を拾った。骨壷を父が抱えて帰宅した。
2000年、25年前のことだ。母は「魔法が使えるのよ」とお茶目に笑う女性だった。どれだけ病室で願っても病気は治らなかったし、閉じた目が開くこともなかった。この世界に魔法なんて存在しないことは母の死によって証明された。
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