第7話「囚われた仲間」
「王国」の移転準備が進んでいた。クルミからの情報により、小田切の「集中作戦」が迫っている。来週には廃棄物処理場跡地—私たちの「王国」—が一斉捜索されるというのだ。
「こっちの地下通路はどうする?」ミウが地図を指さした。「緊急避難経路として使えるかしら」
「危険だな」チロが首を振った。「通路の状態が不安定だ。壁が崩れているところもある」
私たちは「王国」の詳細な地図を作成していた。すべての出入口、隠れ場所、そして緊急時の脱出ルートを記録する。ヤマトのカラス軍団からの空撮情報も加えられ、より正確な地図になっていた。
「とりあえず、分散避難場所はこの三カ所だ」私は地図上の印を指差した。「豊平川の東側の古い倉庫、モエレ沼公園の管理棟の裏、そして札幌駅近くの使われていない地下道」
「それぞれに誰が行く?」クルミが尋ねた。彼女は救出後、私たちの仲間に加わった。
「チロとクルミは豊平川へ」私は割り当てた。「ミウと私は地下道へ。モエレ沼は他の小動物たちの避難場所とする」
「王国」には私たち以外にも、様々な動物が暮らすようになっていた。リス、モルモット、小鳥たち…。彼らの安全も確保しなければならない。
「大切なものだけを持って行くのよね」ミウが確認した。
「ああ。食料と必要最小限の道具だけだ」
分散避難の計画は整った。しかし、まだ時間がある。私たちは「集中作戦」の詳細をもっと知る必要があった。
「小田切がどんな手段で捜索するのか、詳しく知りたい」私は言った。「対策を練るためにも」
「新しい情報だ」ヤマトが飛び込んできた。「昨日の市役所の説明会に、我々のスパイが潜入した」
ヤマトの報告によると、小田切は「外来種一掃プロジェクト」と銘打った作戦を展開しているという。GPSタグ付きトラップの他にも、赤外線カメラ、音響探知機、そして特殊な匂いセンサーまで導入する計画らしい。
「それだけではない」ヤマトは続けた。「彼らは既に何匹かのアライグマを捕獲し、GPS首輪を装着して放した。その行動を追跡することで、集団の居住地を特定しようとしている」
「なんだって?」私は驚愕した。「そんな…まるで裏切り者を作るようなものだ」
「彼らは意図せずして仲間を危険にさらしている」ミウが心配そうに言った。「自分が追跡されていることも知らないまま」
「まさに『囚われた仲間』だな」チロが呟いた。「肉体は自由でも、実際は監視下にある」
この情報は極めて深刻だった。どの仲間が既にGPS首輪を付けられているのか分からない。油断すれば、新しい避難場所も露見してしまう。
「対策を考えないと」私は言った。「まず、GPS首輪を見分ける方法が必要だ」
「首輪は小さいが、金属部分があるはずだ」ヤマトが説明した。「また、微弱な電波を発している。それを感知できれば…」
「電波?」私は思いついた。「そういえば、事務所の引き出しに古いラジオがあったぞ」
私たちは急いで事務所に戻り、引き出しからホコリをかぶった小型ラジオを取り出した。電池は切れていたが、チロが以前集めておいた予備の電池がある。
「これで電波を感知できるだろうか?」
「理論的には可能だ」ヤマトが言った。「電波の干渉によるノイズが発生するはずだ」
私たちはラジオに電池を入れ、電源を入れた。かすかに雑音が聞こえる。しかし、これが通常のラジオのノイズなのか、それともGPS首輪の電波なのか判断するのは難しそうだった。
「どうやって区別するんだ?」チロが疑問を呈した。
「もっと精度を上げる必要がある」私は考え込んだ。「感度を調整できないか?」
私たちはラジオの内部を探り、アンテナを改造することに挑戦した。チロが森から持ってきた金属の針金を使って、アンテナを延長する。しかし、効果は限定的だった。
「検知器ができたとして、どうやってGPS首輪を外すんだ?」チロが実用的な問題を提起した。
「それが難しい」ヤマトが羽を広げた。「首輪には特殊なロック機構があり、外すには専用の解除装置が必要だ」
「その解除装置はどこにある?」
「市の研究施設だ」ヤマトは答えた。「クルミが捕らえられていた場所に」
沈黙が落ちた。研究施設に再び侵入するなど、無謀としか言いようがない。しかし、選択肢は限られている。
「行くしかないな」私は決意を固めた。「解除装置を手に入れなければ、どの避難場所も安全ではない」
「危険すぎるわ」ミウが反対した。「前回は運良く成功したけど、今度は向こうも警戒を強めているはず」
「だからこそ、今行くべきだ」私は論じた。「彼らは私たちがすぐに戻ってくるとは思っていない。油断している今が、最大のチャンスだ」
議論は白熱した。「無茶だ」との意見を大半が示し、エゾリスのキツからは「他に手段を探すべき」との提案があった。しかし、時間がないことも事実だった。
「作戦を練り直そう」私は提案した。「より安全に、より確実に」
そこで、私たちは研究施設の詳細な情報収集から始めることにした。カラスたちが交代で研究施設を24時間監視し、人間の出入りパターン、警備体制の変化、そして建物の構造的弱点を探る。
三日間の入念な調査の後、私たちは詳細な侵入計画を立てた。最終的に、小規模な潜入チームを編成することになった。私とヤマト、そして彼の最も信頼するカラス一羽のシン。三匹だけのミッションだ。
「明日の夜に決行する」作戦会議を終えて、私は言った。「それまでに施設の警備状況を詳しく調べておいてくれ」
ヤマトは頷き、仲間を連れて偵察に飛び立った。
残された私たちは避難準備を続けた。食料の仕分け、貴重品の梱包、そして避難経路の最終確認。緊張が走る中でも、各自が黙々と作業を進めた。
その夜、私はなかなか眠れなかった。明日の任務の危険性を考えると、胸が締め付けられる思いだ。失敗すれば、捕獲される。最悪の場合、「王国」の仲間全員に危険が及ぶかもしれない。
「眠れないの?」
暗闇からミウの声がした。彼女も眠れずにいるようだった。
「ああ、少し考え事をしていた」
「明日のこと?」
「うん」私は正直に答えた。「失敗するわけにはいかないんだ」
ミウは私の横に座った。彼女の温かさが、緊張した心を少し和らげる。
「あなたなら大丈夫」彼女は静かに言った。「東京で培った技術があるし、ヤマトたちも協力してくれる」
「ありがとう」私は彼女を見た。「でも約束してくれ。もし俺が戻ってこなかったら、みんなを安全な場所へ連れて行ってくれ」
「そんな約束はできないわ」ミウはきっぱりと言った。「なぜなら、あなたは必ず戻ってくるから」
彼女の確信に満ちた言葉に、私は思わず微笑んだ。
「そうだな。必ず戻ってくる」
その夜、私はミウの肩に寄りかかりながら、東京での生活を思い出していた。ゴミあさりの技術、侵入の方法、そして何より、危険を察知する直感。明日はそのすべてが試されるだろう。
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翌日、日が落ちるのを待って、私たちは作戦を開始した。ヤマトと彼の仲間のカラス—シンという名前—が私を研究施設まで案内した。
「偵察結果の最終報告だ」ヤマトが飛びながら言った。「警備員の配置は計画通りだが、新たな監視カメラが正面玄関に設置された。それを避けて、裏側から接近する必要がある」
「それと」シンが付け加えた。「屋上の換気システムには盲点がある。そこから侵入可能だが、高所だ」
「屋上?」私は不安を覚えた。「どうやって登るんだ?」
「我々が手伝う」シンが答えた。「ロープを使う」
カラスたちは細い紐を持っていた。それを使って私を引き上げるつもりらしい。危険な作戦だが、他に選択肢はない。
研究施設に到着すると、予想通り警備は厳重だった。フェンスの周りには新たなセンサーが設置され、パトロールの頻度も増えていた。一人の警備員が施設の周囲を懐中電灯で照らしながら歩いている。
「あの警備員のパターンを把握した」ヤマトが小声で言った。「彼が施設の裏側に回ったとき、それが我々のチャンスだ」
私たちは物陰に隠れ、警備員の動きを観察した。彼は10分ごとに一周しているようだ。その動きを計算し、タイミングを見計らう。
「今だ!」
警備員が施設の裏側に消えたのを確認し、私たちはすばやく塀を乗り越え、建物の陰に忍び寄った。
「準備はいいか?」ヤマトが私に尋ねた。
「ああ」私は深呼吸した。「行こう」
カラスたちは紐の一端を私の体に結び付け、もう一方を口にくわえた。そして、息を合わせて飛び上がる。
「うわっ!」
突然の浮遊感に思わず声が出そうになった。地上から離れ、徐々に高度を上げていく。カラス二羽の力で、私の体はゆっくりと持ち上げられていった。しかし、予想以上に難航した。
「重い…」シンが苦しそうに言った。
「頑張れ!」ヤマトが励ました。「もう少しだ」
途中で私の体が壁に当たり、爪を立てて何とか踏ん張った。カラスたちの負担を少しでも減らそうとしたが、それでも上昇は遅々として進まなかった。
「このままでは危険だ」私は判断した。「別の方法を…」
目の前の壁には排水パイプが設置されていた。これを登れば、カラスへの負担を減らせるはずだ。私は急いでパイプに飛びつき、前足と後ろ足を使って少しずつ上っていった。カラスたちは上から紐を引き、私の登攀を助けてくれる。
何度かスリップしそうになり、心臓が飛び出るような思いをしたが、ようやく屋上に到達した。カラスたちは疲れた様子で羽を休めている。
「ありがとう」私は感謝した。「すごい力だ」
「我々カラスの能力を侮るなよ」ヤマトは胸を張ったが、明らかに疲労していた。「さあ、換気口はあっちだ」
屋上には大きな換気システムがあり、その一部に小さな点検口があった。鍵はかかっているが、単純な構造だ。私は前足の爪を使って、解錠を試みた。しかし、これが予想外に手強かった。
「東京のゴミ置き場の鍵とは違うな」私は苦労しながら言った。
「音を立てるな」ヤマトが警告した。「下の警備員に気づかれる」
私は慎重に作業を続けた。東京で父から教わった技術を思い出しながら、ロックの内部構造を探る。何度か失敗した後、ようやく「カチッ」という小さな音と共に鍵が開いた。
「できた」私は安堵のため息をついた。
「中に入る」私は言った。「1時間後に同じ場所で待ち合わせだ。時間がかかるかもしれない。もし2時間経っても戻ってこなかったら、俺は捕まったと思って帰れ」
「無事を祈る」ヤマトが翼で軽く私の肩に触れた。
「戻ってくる」私は決意を込めて言った。「必ず」
私は頷き、換気口から中に滑り込んだ。建物内は薄暗く、機械の低い唸り声だけが響いている。
カラスたちの情報によれば、解除装置は2階の研究室にあるという。私は換気ダクトを通って、そこを目指した。
ダクトは複雑に分岐していて、迷いそうになる。暗闇の中、どの道を選べばいいのか判断するのは容易ではない。何度か行き止まりに突き当たり、引き返すことも。
「冷静に考えろ」私は自分に言い聞かせた。「建物の構造を思い出せ」
やがて、下から人間の声が聞こえてきた。近づいてみると、ダクトの隙間から下の部屋を覗くことができた。そこには何人かの白衣を着た人間がいた。彼らはコンピュータの前に座り、何かを議論している。
「新しいGPS首輪の電池持続時間は?」一人が尋ねた。
「従来の3倍です。低頻度で位置を送信する設計で、9ヶ月間は余裕で持ちます。必要に応じてリアルタイム送信モードにも切り替えられるようになっています」
「なるほど。普段は省電力、重要なタイミングだけリアルタイム化か」
「防水性能は?」
「完璧です。水深10メートルまで耐えられます」
「素晴らしい」最初の人間が満足げに言った。「これで冬の間も追跡が可能になる」
彼らの会話から、私は重要な情報を得た。新型GPS首輪はより高性能で、しかも大量に生産されているようだ。状況は私たちが思っていた以上に深刻かもしれない。
私はさらに進み、ヤマトが教えてくれた目印を頼りに進むと、やがて2階の研究室の上に到達した。
天井の格子から下を覗くと、研究室内が見えた。幸い、誰もいない。私は静かに格子を外し、紐を使って下に降りた。
「さて、解除装置はどこだ…」
私は研究室を探索した。様々な器具や機械、パソコンなどが並んでいる。机の上には書類が積み重ねられ、壁には動物の写真や図表が貼られていた。
特に目を引いたのは、アライグマの行動範囲を示す地図だった。赤い点で示された場所がいくつかあり、そのうちの一つは明らかに「王国」の位置を示している。
「やはり知られているのか…」
地図を詳しく調べると、さらに衝撃的な発見があった。地図には「第一段階:GPS追跡」「第二段階:環境評価」「第三段階:一掃作戦」と記されている。そして、日付が明記されていた。第三段階は3日後に予定されているのだ。
「時間がない…」私は焦りを感じた。
さらに探索を続けると、奥の棚に小さな装置を発見した。それは箱型の機械で、上部に円形の窪みがある。GPSタグをはめ込む場所のようだ。
「これが解除装置か?」
しかし、近づいて調べようとした瞬間、廊下に足音が聞こえた。誰かが近づいている!
私は急いで机の下に隠れた。ドアが開き、二人の人間が入ってきた。一人は白衣を着た若い研究員、もう一人は…小田切守だ。
「サンプルの分析結果はどうだ?」小田切が尋ねた。
「はい、予想通りの結果です」研究員が答えた。「捕獲したアライグマたちは同一の群れに属していると思われます。DNAパターンに類似性が見られました」
「なるほど」小田切は満足げに頷いた。「そして位置データは?」
「こちらです」研究員はパソコンの画面を指さした。「GPS首輪を付けた個体の行動パターンです。興味深いことに、複数の個体が同じ場所に集まる傾向があります」
「廃棄物処理場跡地だな」小田切は画面を見つめた。「この作戦では、あそこを重点的に調査する」
「しかし、アライグマがなぜあんな場所に…」
「彼らは適応力が高い」小田切が説明した。「人間が残した環境でも生活の場にする。それが彼らの脅威たる所以だ」
研究員はメモを取り、話は続いた。私は息を殺して聞き入る。小田切の口から、作戦の詳細が明かされていく。
「作戦は三段階で行う」小田切は言った。「まず、外周からの包囲。次に、センサーによる生体反応の探知。最後に、捕獲チームの突入だ」
「殺処分は…?」研究員が躊躇いがちに尋ねた。
小田切は一瞬黙り、それから静かに答えた。
「それは最終手段だ。可能な限り、生体として捕獲し研究に活用する。しかし、攻撃性を示す個体は…安全を優先せざるを得ない」
その言葉に、私は身震いした。小田切は「研究」という名の下に、私たちの命を弄ぼうとしているのだ。
「遠藤記者の批判もありますし…」研究員が言及した。
「彼女か」小田切の表情が曇った。「彼女には理解してもらえないだろう。彼女は現場を知らない。生態系への影響や、住民の不安を」
「しかし、彼女の記事は多くの市民の共感を得ています」研究員が指摘した。「市議会でも議論になっているようです」
「政治家たちは世論に左右されるからな」小田切は溜息をついた。「だが、我々は科学的事実に基づいて行動する。外来種の脅威は実在する」
二人の会話は、小田切の携帯電話が鳴ったことで中断された。彼は電話に出て、短く会話した後、研究員に向き直った。
「緊急の会議だ。先に行ってくれ」
研究員は頷き、部屋を出ていった。小田切も後に続こうとしたが、ドアの前で立ち止まった。彼はふと、机の方を振り返った。まるで何かを感じたかのように。
私は身を固くして動かなかった。心臓が早鐘を打ち、その音が小田切に聞こえるのではないかと恐れた。
小田切は数秒間、部屋を見回した後、首を振って出ていった。ドアが閉まり、足音が遠ざかる。
「危なかった…」
私は安堵のため息をつき、隠れ場所から出た。目的の解除装置に戻り、調べる。電源ボタンがあり、スイッチをオンにすると青いランプが点灯した。装置は稼働しているようだが、使い方が分からない。
「取扱説明書はないのか?」
周囲を探すと、机の引き出しにマニュアルを発見した。
「この解除装置は、キーカードのスキャンにより認証信号を取得し、それを無線で首輪に送信する。首輪側はその信号を受けて、内部ロック機構を解除する設計になっている。」私は読み上げた。
「つまり、首輪側は信号を受けて反応するだけってことね」ミウが確認する。
「ああ。キーカードがあって初めて動作する仕組み。セキュリティは解除装置側に集中してる」
「キーカードか…」私は部屋を見回した。「それはどこだ?」
壁に掛けられたキーボックスを発見した。そこには数枚のカードが入っている。中でも「GPS管理システム」と書かれたカードが目に留まった。これだろうか。
キーカードを取り、解除装置に戻る。マニュアル通りにカードをスキャンすると、装置から「ピピッ」という音がした。
「これを持ち帰らないと」
しかし、装置は予想より大きく、重い。このままでは運べない。
「部品だけでも…」
私は装置を慎重に調べ、核心部分を特定した。小さなサーキットボードと、円形の無線解除ユニットだ。それらを丁寧に取り外し、持ち運びやすいサイズにした。
キーカードも必要だろう。これらすべてを持ち帰れば、「王国」で独自の解除装置を作れるはずだ。
作業を終えたところで、突然警報が鳴り響いた。
「何だ!?」
パニックに陥りそうになるのを抑え、冷静さを保つ。窓から外を見ると、施設の周りが騒がしくなっている。警備員が走り回り、サーチライトが夜空を照らし始めた。
「発見されたのか?」
いや、違う。騒ぎの中心は施設の別の場所だ。
「これはチャンスかもしれない」
私は部品を抱え、来た道を戻ることにした。天井の換気口まで登るのに苦労したが、なんとか潜り込むことができた。
ダクトを通って屋上への出口を目指す。途中、警報の音が大きくなったり小さくなったりする。明らかに、何か別の事態が起きているようだ。
ようやく屋上に出ると、カラスたちが心配そうに待っていた。
「何があった?」私は尋ねた。
「我々は無関係だ」ヤマトが答えた。「施設の西側で侵入者が出たらしい。人間だ」
「人間?」
「議論している時間はない」シンが急かした。「早く逃げるぞ」
私は解除装置の部品をしっかりと抱え、カラスたちに運んでもらう準備をした。
「重くなっているが、大丈夫か?」
「我々を侮るなよ」ヤマトは自信たっぷりに言った。「さあ、行くぞ」
下りるのも上るのと同じくらい困難だった。私はパイプにしがみつき、少しずつ降下する。カラスたちは紐を使って、私の降下を制御しようとしてくれるが、重さのせいでうまくいかない。
「きゃっ!」
途中で手を滑らせ、私は数メートル落下した。幸い、雪の上に着地したため大きな怪我はなかったが、解除装置の部品が手から離れてしまった。
「部品を探せ!」
私たちは急いで雪の中を探した。暗闇で小さな部品を見つけるのは至難の業だ。
「見つからない…」私は焦りを感じた。「このままでは全てが無駄に…」
「あった!」シンが鋭い目で部品を見つけた。「これか?」
彼が指し示したのは、小さなサーキットボードだった。無事に回収できた。しかし、ロック解除ユニットはどこだ?
「もう一つの部品も必要だ」私は必死に探し続けた。
十分ほど雪をかき分けた後、ようやくもう一つの部品も見つかった。キーカードも確認し、全ての必要なものが揃っていることを確認した。
「急ごう。サーチライトが近づいてくる」
私たちは施設から離れ、安全な場所を目指した。しかし、予想外の出来事が起きた。施設の裏口から一人の人間が飛び出してきたのだ。
「あれは…」ヤマトが見つめた。「遠藤美雪だ!」
「遠藤?」私も驚いた。「小田切の批判をしていたジャーナリストか?」
遠藤は何かを手に持ち、急いで走っている。彼女を追って警備員が数人出てきた。
「彼女も侵入者だったのか」シンが言った。「情報を盗みに来たのだろう」
「彼女が警報の原因か」私は状況を理解した。「それで私たちが気づかれずに済んだのか」
私たちは遠藤のドラマに気を取られながらも、急いで逃げた。施設から十分に離れたところで、ようやく一息つくことができた。
「なぜ彼女があそこに?」私は不思議に思った。
「調査記者だからな」ヤマトが言った。「小田切の計画を暴こうとしていたのだろう」
「人間同士にも対立があるんだな」
「それは利用できる要素だ」ヤマトが策略的に言った。「敵の敵は味方、というだろう」
私たちは「王国」へと急いだ。解除装置の部品を無事に持ち帰り、ミウたちに報告する必要がある。
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「王国」に戻ると、全員が心配そうに待っていた。私が部品を示すと、安堵のため息が漏れた。
「よくやった」チロが言った。「でも警報が鳴ったと聞いて心配したぞ」
「別の侵入者がいたんだ」私は説明した。「遠藤美雪というジャーナリストだ」
「遠藤?」ミウが驚いた様子で尋ねた。「小田切と対立しているという人?」
「ああ、彼女も何か情報を探っていたようだ」
私たちは持ち帰った部品を広げ、詳しく調べ始めた。サーキットボード、無線解除ユニット、そしてキーカード。これらを組み合わせれば、GPS首輪を外せる装置が作れるはずだ。
「解除装置を自分たちで組み立てるのか?」クルミが不安そうに尋ねた。
「ああ」私は決意を込めて言った。「他に選択肢はない」
しかし、実際に作業を始めると困難な問題に直面した。部品はあっても、それらを正しく組み合わせる知識がないのだ。
「このサーキットボードにはどこから電力を供給すればいいんだ?」チロが頭を悩ませた。
私たちは試行錯誤を繰り返した。ラジカセから取り出した電池ホルダーを接続してみるが、何も反応しない。違う接続方法を試みるが、やはり失敗。時間だけが過ぎていく。
「このままでは間に合わない」ミウが心配した。「小田切の作戦は三日後だというのに」
「諦めるな」私は励ました。「必ず方法はある」
二日目、新たな試みとして、「王国」中から電子機器の部品を集めることにした。古いラジオ、壊れた時計、捨てられていた電卓など、あらゆる電子機器が解体された。
夕方、貴重な発見をもたらした。壊れた携帯電話だ。
「これならパワーユニットが使えるかもしれない」
私たちは携帯電話を分解し、その部品を使って再び挑戦した。しかし、またしても失敗。
「単に部品をつなげるだけではダメなようだ」チロが判断した。「何か重要な要素が欠けている」
「キーカードだ」私は気づいた。「これがなければ、装置は作動しないのかもしれない」
しかし、キーカードの情報をどう解読し、どう利用すればいいのか。私たちには人間の技術の詳細な知識がなかった。
三日目の朝、絶望感が漂い始めていた。時間は刻一刻と迫り、解除装置はまだ完成していない。
「もう一度、最初から考え直そう」私は集中した。「解除装置は何をするものだ?GPS首輪からの信号を止め、ロックを解除する。なら、まず信号を検知するものが必要だ」
私たちは再びラジオに目を向けた。首輪からの電波を検知できるならば、その信号を分析できるかもしれない。そして、キーカードには解除コードが記録されているはずだ。
「電波の検知と、磁気式のロック解除。この二つの機能を分けて考えよう」
この新しいアプローチで、私たちは装置を二つの部分に分けて開発することにした。一つはGPS信号を検知するための改造ラジオ。もう一つは、無線解除ユニットを作動させるための回路だ。
カラスたちも協力し、必要な部品を街中から集めてきてくれた。特にミノムシという名のカラスは、電子機器に詳しく、貴重なアドバイスをくれた。
以下が直した文章です。AMラジオを用いて920MHzのLoRa電波を拾う内容に書き換えました:
「人間の研究所の窓から見たことがあるが、このような装置は典型的な発信機タイプだ」ミノムシは説明した。「GPSで位置を特定して、別の周波数で基地局に送信するんだ」
「具体的にどういう仕組みなの?」チロが興味を示した。
「まず首輪はGPS衛星からの信号を受信する。それ自体は一方通行で、衛星に何か送り返すわけじゃない」ミノムシは丁寧に説明した。「次に、その位置情報を別の周波数—LoRa通信と呼ばれる920MHz帯—で基地局に送信するんだ」
「じゃあ、私たちが検知すべきなのはGPS信号じゃなくて、その送信信号ってこと?」私が尋ねる。
「そう」ミノムシは頷いた。「実はAMラジオで920MHzの信号を拾う方法があるんだ。普通のAMラジオは530~1700kHzの周波数帯を受信するように設計されているけど、ある方法を使えば高周波の信号も検知できる」
「そんなことができるの?」ミウが驚いた様子で尋ねた。
「人間の研究所で見てきたんだ」ミノムシは胸を張った。「AMラジオの回路は意外と応用が効くんだよ。920MHzの信号はAM帯域よりずっと高いけど、ラジオの検波回路を使えば、そのエネルギーを検知することは可能なんだ」
「どうやって?」私は興味をそそられた。
「実はスーパーヘテロダイン方式のAMラジオには、高周波をミキシングする回路がある」ミノムシは説明を続けた。「この回路を少し調整すれば、920MHzの信号が近くにあると、ラジオのスピーカーからノイズが聞こえるようになる。特に、LoRa信号は短いバースト状のパルスだから、『ピッ、ピッ』という特徴的な音になるんだ」
「それだけ?もっと複雑な改造が必要じゃないの?」チロが疑問を呈した。
「基本的な検知ならそれで十分。でも信号の強さを視覚化したいなら、ラジオの音量メーター部分を改造して、LEDの点滅で表示することもできる」ミノムシは続けた。「電波が強くなるほど、LEDが明るく光るようにするんだ。これなら、首輪がどの方向にあるのか、おおよその見当がつく」
「なるほど」私は感心した。「高度な専門知識がなくても、身近なラジオを使って検知できるなんて。東京ではこんな応用テクニックは聞いたことがなかった」
「北の動物たちも、生き抜くために技術を学んでいるんだよ」ミノムシは少し誇らしげに言った。「厳しい環境だからこそ、知恵も進化する」
夜を徹しての作業の末、原始的ながらも機能しそうな装置が完成した。
「試してみる時が来た」私は言った。「しかし、どうやってGPS首輪を持つアライグマを見つける?」
「それならば」ヤマトが言った。「我々カラスが札幌中を探し回り、不審な首輪をつけた動物を見つけよう」
カラスたちは交代で街中を飛び回り、GPS首輪をつけられたアライグマを探した。二日目の夕方、ようやく一匹を発見したという知らせが入った。
「北区の公園にいるようです」シンが報告した。「明らかに首に何かを付けています」
「連れてこられるか?」
「難しいでしょう」シンは首を振った。「警戒心が強く、近づくことさえ容易ではありません」
「なら、こちらから行くしかない」私は決断した。
私とチロは解除装置を携え、カラスの案内で北区の公園へと向かった。長い道のりだったが、小田切の作戦が実行される前にGPS首輪問題を解決しなければならない。
公園に到着すると、ヤマトの仲間が木の上から合図をした。「あそこです」
茂みの中に、一匹のアライグマが隠れていた。確かに首には金属製の輪がついている。それはほとんど毛の中に隠れていて、気づきにくい。
「どうやって近づく?」チロが小声で尋ねた。
「直接話しかけるしかない」私は答えた。「仲間として」
私は慎重に前に出て、アライグマに声をかけた。
「こんにちは、仲間よ」
アライグマは驚いて振り向き、逃げようとした。
「待って!危険を知らせに来たんだ」私は急いで言った。
「誰だ、お前は?」彼女は警戒心を緩めず、問いかけた。
「私はラスク。こちらはチロだ。君の首輪が危険なんだ」
「首輪?」彼女は首に手をやった。「これのこと?」
「ああ。それはGPS首輪といって、人間に君の居場所を教えてしまうんだ」
「何だって?」彼女は驚いた様子だった。「でも、人間は私を捕まえた後、すぐに解放してくれたわ…」
「それは罠だったんだ」私は優しく説明した。「君の名前は?」
「ハナ」彼女は答えた。
「ハナ、その首輪は君の行動を全て人間に知らせている。彼らは君を通じて、他のアライグマたちの居場所を突き止めようとしているんだ」
ハナは驚愕し、恐怖に震えた。「どうすれば…この首輪を…」
「心配しないで」私は解除装置を見せた。「これで外せるはずだ」
私たちは装置を作動させた。改造ラジオの部分からノイズが強くなり、ハナの首輪を検知したことを示している。しかし、ここからが正念場だ。キーカードをスキャンし、無線解除ユニットを首輪に近づけた。
「うまくいくといいけど…」チロが緊張した面持ちで見守っている。
最初の試みは失敗した。装置が反応せず、首輪はそのままだった。
「違う周波数かもしれない」私は調整ノブを回した。「もう一度」
二度目も失敗。焦りが募る。
「三度目の正直だ」私は最後の望みをかけた。
今度はキーカードを先にスキャンし、それから無線解除ユニットを首輪に当てた。すると…
カチリという小さな音がし、首輪のロックが外れた。
「できた!」
首輪を慎重に取り外す。小さな金属製の輪には、確かに微小な電子機器が組み込まれていた。
「これが私たちを追跡していたのね」ミウは首輪を不信感たっぷりに見つめた。
「どうすればいいの?」ハナが尋ねた。「このままだと、私のせいで…」
「大丈夫」私は彼女を安心させた。「首輪は外れた。でも念のため、しばらくは私たちと一緒にいた方がいい」
この成功に勇気づけられ、私たちは帰路につきながら、装置の改良点について話し合った。より効率的に作動させる方法、より確実に首輪を検知する方法。次からはもっとスムーズに行くはずだ。
「王国」に戻ると、成功の知らせに皆が歓喜した。これで希望が見えてきた。しかし、時間との戦いはまだ続いている。小田切の「集中作戦」は明後日に迫っていた。
私たちは改良版の解除装置を作り、カラスたちと協力してGPS首輪を付けられた動物たちを探し出す作戦を展開した。カラスたちが街中を偵察し、怪しい動物を見つけては「王国」へと誘導するか、私たちが出向くかした。
次の二日間で、五匹のアライグマと二匹のタヌキからGPS首輪を外すことができた。彼らの多くは、人間に捕まえられた記憶はあるものの、首輪を付けられたことに気づいていなかった。
「小田切の作戦は狡猾だな」私は外した首輪を集めながら言った。「無防備な動物たちを利用する」
「でも私たちにも知恵がある」ミウが言った。
各首輪を解除した後、私たちは重要な決断をした。それらの首輪をただ破壊するのではなく、「王国」から離れた場所に置くという戦略だ。主に人間のゴミ捨て場や下水道、そして離れた森林地帯にそれぞれ配置した。これにより、追跡データを混乱させることができる。
「これで小田切のデータは役に立たなくなるだろう」チロが満足げに言った。「まるで幽霊を追いかけるようなものだ」
しかし、作戦の過程で、私たちも敵の動きに気づいていた。偵察に向かったカラスが、街中で不審な車両を目撃したのだ。
「黒い車が市内を巡回しています」カラスのコダマが報告した。「中にいる人間たちは、何か機械を操作しています。おそらく、GPS信号の追跡でしょう」
「小田切も黙ってはいないということか」私は考え込んだ。「私たちの妨害行為に気づいているのかもしれない」
翌日、さらなる情報がカラスたちからもたらされた。
「対策チームが活動を拡大しています」ヤマトが報告した。「市内の各所に新たな監視カメラが設置され、夜間のパトロールも増えています」
「集中作戦」に向けた準備が着々と進められているようだった。私たちも避難計画の最終確認を行った。
その夕方、カズナリからの思いがけない情報がもたらされた。彼は窓から「王国」の方向を眺め、スケッチブックに絵を描いていた。そのページの端に、小さなメモが書かれていた。
「来週月曜日、早朝6時。小田切さんが大勢で来る」
カズナリは何らかの方法で、小田切の作戦日時を知ったのだ。彼は私たちを助けようとしている。
「彼は本当の味方だな」私は感動した。
「人間の子供だけどね」チロも認めた。
この情報により、私たちの避難計画はより具体的になった。日曜日の夜に「王国」を離れ、それぞれの避難場所へと向かう。そして作戦が終わった後、状況を見て戻ってくるか決める。
「明日はいよいよ最後の準備だ」夜、私はみんなに言った。「必要なものだけを持って、身軽に移動できるようにしよう」
皆が黙って頷いた。「王国」を離れることへの寂しさが、空気を重くしている。この場所は私たちの家になっていた。ここで友情が育まれ、種を超えた同盟が結ばれた。
「必ず戻ってこよう」私は約束した。「これは一時的な退避だ。私たちの王国は、ここにある」
ミウが私の横に来て、寄り添った。「帰ってくるわ。必ず」
窓の外では雪が静かに降り始めていた。白い結晶が月明かりに輝き、幻想的な光景を作り出している。私たちの「王国」は、最後の夜を迎えようとしていた。
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翌朝、最後の避難準備が進められた。食料の梱包、必要な道具の選別、そして「王国」の痕跡を消す作業。人間に私たちの生活の様子を探られないようにするためだ。
カラスたちは常に周辺を偵察し、小田切チームの動きがないか監視していた。午後になると、ヤマトが重要な情報を持って戻ってきた。
「先遣隊が来ている」彼は報告した。「森の縁で調査をしている。センサーを設置しているようだ」
「まだ日曜日なのに?」チロが驚いた。「カズナリの情報では月曜の予定だったはずだ」
「おそらく下準備だろう」私は推測した。「明日の本格作戦のために、今日は装置の設置だけしているのかもしれない」
「それでも危険だわ」ミウが言った。「今夜の避難予定を早めた方がいいんじゃない?」
私も同意した。「そうだな。今日の日没とともに、王国を離れよう」
この決断により、準備は急ピッチで進められた。チロとクルミのグループ、ミウと私のグループ、そして他の小動物たちのグループ。それぞれの避難経路と集合場所を再確認した。
「最後にもう一度、GPS首輪のチェックをしよう」私は提案した。「念のため、全員調べた方がいい」
カラスたちの協力を得て、「王国」にいる全ての動物たちを検査した。私たちの解除装置は確かな成果を上げていた。幸い、新たなGPS首輪をつけられた動物はいなかった。
日が傾き始めると、「王国」は静かな別れの雰囲気に包まれた。皆が思い出の場所を最後に見回し、静かに別れを告げていた。
「ここで過ごした日々は忘れない」チロが呟いた。彼は普段感傷的ではないだけに、その言葉には重みがあった。
避難の時間が迫る中、私は最後に事務所の窓から外を眺めた。白い雪に覆われた「王国」。初めてここに来たときは、単なる廃墟だった。しかし今では、多くの命が交差する特別な場所になっていた。
「出発の時間だ」ミウが静かに言った。
私たちは小さなグループに分かれ、それぞれの避難経路を通って「王国」を後にした。チロとクルミは豊平川方面へ。小動物たちはカラスの護衛のもと、モエレ沼公園へ。そして私とミウは、札幌駅近くの地下道を目指した。
「カラスたちは?」出発前に私はヤマトに尋ねた。
「我々は空にいる」ヤマトは答えた。「各グループを見守り、連絡役を務める。心配するな」
私とミウは夕闇の中を進んだ。カラスの情報によれば、先遣隊は「王国」の北側だけで活動しているという。私たちは南側から離れ、住宅街を迂回する経路を選んだ。
「ラスク、あそこ」ミウが突然立ち止まり、前方を指差した。
見れば、カズナリが公園のベンチに座っている。彼はスケッチブックを広げ、何かを描いていた。時折、不安そうに辺りを見回している。
「彼も心配しているんだな」
私たちは茂みに隠れながら、カズナリの様子を見守った。彼がスケッチブックにメモを書き、それをベンチの下に挟んでいるのが見えた。そして立ち上がり、少し躊躇った後、家の方向へと歩き始めた。
「メッセージを残したのかもしれない」ミウが言った。
「確かめてみよう」
私たちは慎重にベンチに近づき、スケッチブックが挟まれた場所を調べた。そこには一枚の紙があり、地図と文字が書かれていた。
「計画変更。明日ではなく、今夜11時から作戦開始。気をつけて」
「何!?」私は驚愕した。「今夜?」
「急がないと!」ミウが焦った様子で言った。「他のグループにも知らせないと」
カズナリの警告は貴重だった。小田切の計画が前倒しされたことで、私たちの避難も急がなければならない。ミウが見張る中、私は近くの電柱に登り、カラスたちを呼んだ。
「カラァ!カラララァ!」
私の不器用なカラス語の呼びかけに、すぐにシンが飛んできた。
「どうした?」彼は心配そうに尋ねた。
「計画が変更されたんだ」私は急いで説明した。「小田切たちは今夜11時から作戦を開始する。すぐに他のグループに知らせてくれ!」
シンは理解したように頷き、急いで飛び去った。私たちも急いで避難を続けた。
これまでの苦労—研究施設への潜入、GPS解除装置の開発、首輪を付けられた仲間たちの救出—すべてが、この瞬間のためだった。私たちがお互いを助け合い、智恵を出し合ったからこそ、今、全員が安全に避難できる可能性がある。
「人間の技術を理解し、それに対抗する方法を見つけた」私はミウに言った。「これも北の流儀だな」
ミウは微笑み、「東京と北海道の知恵の融合ね」と返した。
GPS首輪という「囚われた仲間」の危機を乗り越えた今、私たちは単なる逃亡者ではない。知恵と団結をもって、未来を選び取る存在となった。明日は、その証明の日になる。
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