第4話 再会?
「久しぶり‥?僕と学園長って過去に会ったことがあるんですか?」
学園長から発せられた言葉にピンと来ない玲はそのまま思った通りの疑問を返す。
すると、学園長から言葉が返ってくる
「覚えていないのか?」
「?ええ、何も覚えてません‥」
む〜、っと唸りながら指を口に当て学園長は何かを考え出す。
その状態が10秒ほと続くと、学園長は口を開く
「覚えてないなら、覚えていないでいい。悪かったな、変な事を言って」
「えっ?ちょっと待ってくださいよ!そこまで言ってしぶらないでください!」
「あ〜、別に大したことじゃない。昔、ちょっと話したぐらいでな‥。特段関係があるわけでもない」
学絵長の態度は、明らかに何かを隠している。そうとしか思えない。けれど‥
「話す気がないなら追求するだけ無駄か」
今はそう言う事にしておこう。
学園長が聞こえないほどの声で呟く。
「もしかしてですけど、学園長が僕を呼んだ理由ってこれだけですか?」
表面上だけでも、さっきの話を信じたように会話を続ける。
「そんな訳ないだろう。ちゃんと他にも理由はある」
他の理由‥?もしかして入学書類に不備でもあったのだろうか?
「玲は目が見えていないだろう?」
学園長の言葉に、緊張が走る。
どうやって気付いた?何時?何が原因で?分からない。対面で話したわけでもないのにいつ気付いた?
いや、それよりも気にすべきことがある。
「「嘘がバレた」」ことだ。
まずい。これは非常にまずい。「目が見えない」なんて、大事な事を書類に書かない事が原因で退学になるのだけは避けなければ‥でもどうすれば‥
玲が思案していると学園長が咳払いをしつつ口を開く
「別に、そんなに警戒しなくていい。目が見えない事を隠していたのは確かに良くないが、君はそれの対策を自分で持っているんだろう?」
「それは‥そうですけど‥」
「なら、我が特段責める必要もない。玲が必要だと思うのならば、教師達にも黙っておこう」
「いいんですか?」
「ああ」
正直、優しすぎてすこし疑心が残る。かと言って学園長が今この場で嘘を吐く理由もない。この学園、それどころかこの大陸中を探しても学園長に命令したり出来る様な人間もいない。つまり学園長は事実上の最大権力者だ。そんな人物がわざわざ回りくどい方法を使うとは思えない。気に入らないと思ったならその場で消すだけでいいのだから。そう考えるとやっぱり善意なのだろう。ならば
「ありがとうございます。でも、どうやって気付いたんですか?バレる様なミスはしてないと思っていましたが」
「あぁ、その事か。簡単に言えば我の持つ権能の一部だ。視界に干渉することが出来る力があるんだ」
「なるほど‥そう言う原理で‥」
そりゃ見当もつかないわけだ。権能なんて一般人が知ってるわけないからな‥
「これで話は終わりだ。もう帰っていいぞ」
話したい事を話せて満足そうな学園長が言う。
「分かりました。けど一つだけ聞いてもいいですか?」
「なんだ?我が知ることなら答えるが」
知ってることなら答えてくれるのか‥今からでも質問を変えるべきか?いや、余計な事は考えなくていい。そのまま聞こう。
「また、こうやって話をしに来てもいいですか?」
その言葉に学園長は最初こそポカンとしていたが、言葉を理解すると優しく微笑みながら「もちろん。玲なら大歓迎さ。いつでも遊びにきたまえ」と返すのであった。
その会話を最後に玲は学園長室の扉を開け、帰宅のために校門を目指し、歩き始めるのであった。
ラプタ ななご @nanago_3
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