第1章 ~Young man, embrace the monster~
第1話 遭遇!白日の犯行 1
十五年後……
「あ~、悪いね。君、
無残にもそう言われて、僕は事務所を追い出された。分かっていた答えとはいえ、僕はガックリと肩を落としながら駅へと向かって歩き出す。
「不採用56社目……やっぱり
僕の口から弱音とも愚痴とも取れない言葉が零れた。
僕の名前は
その存在が最初に確認されたのは、約150年前だと言われている。それは当時、世界で大流行したある病が原因だった。後に超人化ウィルスと呼ばれたそれは当時の世界人口の実に三割の人を死に至らしめた。
だけど、ウィルスに
出現当初、彼らはその特異な力の所為で人々から奇異の目や畏怖の目に晒された。だけど、彼らの力にいち早く目をつけてそれを利用しようとする者達が現れる。それが今は無き中央帝国だった。
そもそも、超人化ウィルスの発生源は帝国であったとされており、その為に帝国では非常に罹患者が多かった。だから必然的に超人が他国に比べて多数存在したらしい。
時の帝国の上層部は彼らの兵器として価値を高く評価して、彼らを人間兵器として利用する事を決定する。そして、結成されたのが超人兵団と呼ばれる部隊だった。帝国は彼らの力を使って世界を支配する為に、未だ大量の死者により疲弊した各国へと宣戦布告を行ったのだ。これが後に第三次世界大戦。別名超人大戦とも呼ばれた戦争の切っ掛けだ。
戦争は約10年続いたけど、最終的に帝国の敗北という形で終結する。その際、戦争を終結させる最大の要因となったのが各国の軍隊では無く、様々な国の
終戦後、彼らは彼らの中で最も優れた5人の
ウィルスと大戦、更に大戦の余波による動乱によって、世界人口は大幅減少となった。人口減は科学技術や社会の停滞をもたらし、それによって起きた社会不安や不満は世界に大小様々な
彼らへの対策としてWSPOは世界中に能力抑制ナノマシンを散布する事で超人が自由に力を発揮出来ない様にした。超人が力を使うには、WSPOが発行する
僕は幼い時に
それは僕が
現代社会において超人を活用している職業は多い。しかし、さっきも言った様に
その理由は単純である。
(自分でもそれくらい分かっている……だけど……!)
『ニュース速報です。『
「インフィニティが……!?」
ビルの外壁モニターから聞こえてきた声の内容に僕は顔を上げた。そこに映っていたのは、
『インフィニティパンチ!』
ドゴーン!
十メートルはあろうかという巨大な大男が、七色に光る男のパンチ一発で吹っ飛ばされる瞬間だった。現場の記者から興奮の声が聞こえてくる。
『ご覧ください! 『ティターン』のリーダーである
七色の光を纏って空から降りてきたインフィニティは、記者からマイクを向けられるとカメラに向かって指を差した。
『皆の平和は俺が守る。だから、君たちも困っている誰かを見たら、そっと手を差し伸べてやってくれ。その為にも、悪は俺が全て倒す!』
カメラに向かってメッセージを送るとインフィニティは宙に浮きあがり飛び去っていった。モニターからは尚も興奮する記者の声が続くが、僕にはその内容は聞こえていなかった。
(『
「僕は諦めないぞ! 絶対に夢を叶えてみせる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます