第4話
「ふっふっふっ、驚いたかカオル氏」
得意げに胸を反らせたはずが、気づくとカオちゃんはまた画面にのめり込んでいた。
「そーなんだ」
「興味を持とう!」
目の前の友人を無下にするとは。
せっかくのハイテンションが空回りではないか。
でもこう見えて、カオちゃんはよく人の話を聞いている。
素っ気ない素振りをしていても、どんな他愛のない話でも覚えてくれているのだ。
「そんなカオちゃんも好き」
「ごめんなさい」
「え、何に対して!?」
いわゆるツンデレのツンを凝縮したような答えにツッコミを入れながら、ふと気づくと、校門あたりが騒がしくなっていた。
「やや!これはもしかして王子様のご来校!?」
「はいはい」
背中にカオちゃんの呆れた溜息を受けながら私は再度窓に張り付いた。
あ、鼻先の油分が窓に。
そんなことを構ってる暇もなく、私は遠くにそびえる校門を見た。
騒がしさとともに校門をくぐり抜けてきたのは3、4人の男子生徒。それと共にまわりを取り巻く派手な女子軍団。
「ぎゃほーー!イッケメーン!!」
「叫び声止めて気持ちが悪い」
「え、じゃあぎゃひー?」
「……」
もう構ってらんないとでもいうようなカオちゃんはさて置き、私は窓に目をくっつける勢いで見続ける。
賑やかな集団の中心に位置し、遠目からでも確認できる長身。
その人目をひく姿に加え、勉学、スポーツもトップクラス。
常に人が周りに溢れ、中心を担ってきた学校の有名人。
梶谷 匡 (かじたに きょう)。
「はあー、名前までカッコいいとか……!」
「性格はトップクラス級に悪いって話だけど」
窓に張り付いてふんがふんがしてる私の隣でカオちゃんが冷めた声を出す。
「そんなことあるわけがないようなあるようなないような」
「どっち」
そうこうしてるうちに賑やかな集団は校舎に入り、校門にまた静けさが戻った。
「んで?どうすんの?その告ってきた男子は」
というか窓についた跡はちゃんと拭きなさい。
とお叱りの言葉を受けながら、私はカオちゃんの方に顔を向けた。
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