第4話
絵画の扉トラップには目もくれずに進むと、再 び声が聞こえた。
『貴方をここに呼んだのは私です』
「それはどうも」
御礼はいいので、元の世界に戻しては頂けない でしょうか。
朝一で茜の部屋に行き、寝顔を観賞する日課が あるので。
『貴方の持つ精神力で、*********を解き放ってく ださい』
「なんのことでしょう」
よくわからないんだけど。
『私の代わりに止めてください。無理を聞き入れ てくれるなら、女神の力を貴方に』
「いえ、いいです」
どこまで上ってきたんだろう。
いかに壮麗な螺旋階段でも、無限に続きそうな 雰囲気には頭を抱えたくなる。
『この干渉も、時間は限られています。秩序の綻 びに修正を。……どうか』
このまま無視しようかとも思ったが、相変わら ずの螺旋階段と絵の扉なので承諾するしかなさそ うだった。
まさか非現実の世界でも指図されることになろ うとは。
「引き受けたら何かメリットでも?」
『特にありません』
僕は一気にやる気をなくした。
元からないけど。
けれどどこなのかわからない、夢か現実かもわ からない場所に閉じ込められるのは御免だった。
ここにはなんの楽しみもない。
せめて茜でもいてくれればだいぶ違うんだけ ど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます